システム管理を充実させるための手段として

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今回はちょっと変わった製品をご紹介します。今年の3月に発売し,engadget 日本版 にも掲載された 1URack2Mini のカスタムバージョンです!

Mac miniはコストパフォーマンスが高く,Xserveが発売終了となった今では,サーバ用途で使われることも多いと思います。ですが,基本的にはMac OS Xしか動かせない(BootCampなどもありますが),LANポートが1つしかないなど,汎用性という面ではやや使い回しがしづらい面もあると思います。
そこで「1UにLinuxと共存できたら色々できて面白そう!」という発想で,実際に作ってみました。

「オープンソースソフトウェアを活用して、コストを削りながら必要な機能を確保できるか」「いかに効率よく導入できるか」という点は、エンジニアの皆さんの腕の見せどころではないでしょうか。そんな期待に応えられる製品をと思い形にしてみました。

近々発売予定ですので,まずは顛末記を楽しんでいただけたら幸いです。

日本初!?
1Uスペースでハードウェア的にMacとLinuxを使う

ソフトウェア的にMacとLinuxを共存させて使う方法はかなり昔から存在していました。いずれもライフハッカーの記事です。

MacでLinux環境をデュアルブートして、愛着のあるMacを使い続ける作戦
http://www.lifehacker.jp/2012/08/120827maclinux.html

Mac/Windows/Linuxのトリプルブートを可能にする方法(しかもBoot Camp不使用!)
http://www.lifehacker.jp/2010/05/100512wml.html

実際に筆者の環境でも同じことをしていたりします。この方法ならMacとLinux(Windows)の共存はもちろん可能ですが,VMwareのように同時に起動させることはできないので,OSを切り替えるには再起動する必要があります。

今回の取り組みでは,1Uスペースにハードウェアとして完全に独立しているので,仮想マシンのようにハードウェアリソースを共有することなくMacとLinuxを動かすことができます。

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このように,左側のマシンにLinux,右側はMac miniを配置し,2つのハードウェアをエンクロージャーにすっぽり収める形になります。

Mac miniに仮想マシンを立てて使うのと何が違うのか?

という声が聞こえてきそうですが (^_^;),Mac miniのリソースで仮想マシンを立てて使うのは少し厳しい気もします。あくまでMac上で動くアプリケーションを使うことが目的であれば,安定して動かすことを重視して,単体で動かす方がバックアップなどの管理もしやすいのではないでしょうか。
試しに特盛り仕様で金額を出してみたところ,「¥262,800(税別)」という結果になりました。さすがにここまでの性能があれば問題ないかもしれませんが,Mac miniはCPUがデュアルコアしか無いんですね…

  • 3.0GHzデュアルコアIntel Core i7(Turbo Boost使用時最大3.5GHz)
  • 16GB 1,600MHz LPDDR3 SDRAM
  • 1TB PCIeベースフラッシュストレージ

Mac mini

Mac miniでは力不足ということであれば,よりスペックの高い Mac Pro をラックマウントして使う方法もあるみたいですね…コストはかかりそうですが,めっちゃカッコいいです!

「Mac Pro」4台を使ってラックマウント型サーバを組み立てるとこうなる
http://gigazine.net/news/20150507-mac-pro-server/

仮想マシンを立てるためには,Mac上で動く仮想化ソフトウェアの導入が必要です。年間契約が必要な製品もあり,多少継続的なコストを考慮する必要があります。

table

以上のことを考慮すると,あえてMac miniを仮想化して使うメリットはそれほど大きくないのではないでしょうか。

Linuxとして使えるマシンのスペックは?

実際にエンクロージャーに入れて使うマシンは,弊社の POWERSTEP MONI という製品です。コンパクトフラッシュを搭載でき,ネットワークポートが充実しているのが特徴です。電源スイッチも付いています。

rear

CPU:Intel Celeron J1900 2.0GHz
メモリ:4GB DDR3L-1600MHz SO-DIMM(最大8GB)
ストレージ:2.5インチ(HDD/SSD) またはCompact Flash
ネットワークI/F:Intel Gigabit Ethernet(Intel i211) ×4
映像出力ポート:VGA
その他:シリアルポート×1, USB3.0×1, USB2.0×1
サイズ:44 mm(H)×231.9 mm(W)×152 mm(D)

では使い勝手はどうなのか?

では実際の使い勝手はどうなんだというところですが,1つずつ中身の構造を見ていきましょう。

1.電源まわり

マシンを動かすためには電源を入れなければなりません。本体には電源スイッチが付属しています。電源ケーブルを挿した時に自動で起動できればもっと便利なのですが,残念ながらそれはできません。

button

電源アダプタは本体の後部にウレタン素材とベルトで固定しています。

power

背面から見ると,挿し込み口が見える形になっています。

rear

2.各種インターフェース

ラックマウントした状態でエンクロージャーの外側からアクセスするための工夫をしています。

port

VGAポートとUSB3.0ポートに外側からアクセスできるようになっています。LANポートなどの他のポートはエンクロージャーの蓋を空けて内側からアクセスすることになります。
シリアルポートの外出しについては現在開発中です。USBポートは合計2ポート(USB3.0とUSB2.0)あるため,前後1箇所ずつ外出しすることも可能です。

BIOSからシリアルポートの細かな設定ができます。

bios

3.排熱

本体の熱は,内蔵のファンで背面方向に逃がせるようになっています。

fan

4.メンテナンス性

専用のレールキットを利用することで,ラックから簡単に引き出して内部にアクセスすることができます。上部の蓋はネジを外せば簡単に取り外せます。

mount

蓋を閉めるとフラットでムダのない形になっています。

150320mac+mini+case

ラックマウント作業をこちらで承ることも可能です。
https://www.amulet.co.jp/solutions/rack_mount.html

実際にCentOS 7を入れて使ってみた

CentOSをインストールして使ってみました。VNCサーバを起動して,MacからVNCでデスクトップを表示させてみました。

ss

SSDを搭載しているので,ベンチマークを取ってみました。SATA2のため,そこまで性能を引き出すことはできないようです。

# hdparm -t /dev/sda3

/dev/sda3:
Timing buffered disk reads: 670 MB in 3.01 seconds = 222.79 MB/sec

ネットワークポートが充実しているので,ルーター・ファイアーウォール・VPNサーバ・監視サーバなど,ソフトウェアを追加してカスタマイズできるため,ネットワーク管理の補助役として柔軟に使い回しが利くのではないでしょうか。

店頭展示します

今週11/24(月)〜来週12/4(金)まで,実際にMacとLinuxを共存させた状態で店頭に展示します!

サーバラックにおさめた状態での使用感も確認できますので,是非お立ち下さい。

内蔵ハードウェア POWERSTEP MONI はこちらから!