10Gbps対応のイーサネットポートやCFexpress Type B/UHS-II SDカードスロットなど、ハイエンド向けの機能を多数搭載したThunderbolt 3対応ドッキングステーション「OWC Thunderbolt Pro Dock」が2022年7月29日に発売されました。
従来のOWC Thunderbolt対応ドッキングステーション製品はmacOSとWindowsのみに対応していましたが、この新製品はiPadOSにも対応しています。
そこで今回は、Thunderbolt / USB 4ポートを搭載したiPad Proと本製品を組み合わせて、実際にどんな機能が使えるのかをいろいろ試してみました!

OWC Thunderbolt Pro Dockの概要

iPadでの検証を始める前に製品についておさらいしておきましょう。
前回のブログでご紹介したとおり、OWC Thunderbolt Pro Dock(以下、「本製品」と表記します)は、Thunderbolt 3対応ポート経由でパソコン・タブレットに様々な機能を追加することができるドッキングステーションです。
各種Thunderbolt/USB機器を接続する基本的な機能に加えて、DisplayPort対応モニター、10Gbps高速ネットワーク、CFexpress Type Bカードなどを接続できる機能も搭載しています。

本製品の各機能や外観の詳細、パソコンを使ったCFexpressのベンチマーク結果などについては前回のブログにまとめているので参照してください。

Thunderbolt / USB 4ポート搭載 iPad Proに繋いでみました!

それでは実際に、Thunderbolt / USB 4ポートを搭載したiPad Proで本製品のどういった機能が使えるのか確認してみましょう!
まずはドッキングステーションの基本的な機能として、USBキーボードにマウス、そして外部モニターを接続してみました。

USB接続のマウスとキーボードは共にiPad Proで認識され使用可能です。
ただし、現状iPadOSでは外付けキーボードを単独でつなぐとUS配列として認識されてしまうので、写真のように日本語キーボードを接続した場合に一部記号などの入力が難しくなります。

なお上の写真で写っている大型モニターはDisplayPortを搭載していないため、OWCの姉妹ブランドであるNewerTechの「NewerTech USB-C to HDMI Adapter」を使ってHDMIで接続しています。
この製品を使うときの注意点として、本製品のデイジーチェーン用Thunderbolt 3ポートに接続した場合にのみ動作可能でした。他のUSBポートに接続した場合は動作しません。
これはおそらく、NewerTechのアダプターが必要とするDisplayPort Alternate Modeに本製品の他のUSB-Cポートが対応していないことが原因だと考えられます。

またiPadに接続できる外部モニターは1台のみとなるため、iPad Proで本製品のDisplayPortとNewerTechのようなUSB接続のHDMIアダプターを同時に使用することはできません。
外部モニターに表示される内容は基本的にミラーリング(画面複製)によるiPad本体画面と同一のものとなります。一部の動画プレイヤーなどでは外部モニターをフルに使ってコンテンツの表示が可能です。これは本製品のDisplayPortからDisplayPortモニターへ接続した場合も同様です。

外部モニター台数については、ノーマルのApple M1チップを搭載したMacBookでも外部モニターを1台しか接続できないという制限があります。
なおApple M1 Pro/MaxチップやIntel プロセッサを搭載したMacについては2台以上の外部モニターを使用できます。社内検証では、M1 ProとIntelプロセッサを搭載したMacBook Pro上記NewerTechのアダプターと本製品のDisplayPortの双方から同時にそれぞれ4Kでの出力が可能であることを確認済みです。

 iPadOSで10Gbpsネットワークは使える?

次に本製品の10Gbps対応ネットワークポートについて、iPadで実際に10Gbpsネットワークの速度が出せるのかを確認してみました。
検証にはネットワークの帯域幅と実効速度を測定できるツール「iPerf」を使用しています。
iPad ProにはApp Storeから「iPerf 3 Wifi Speed Test」をインストールしてクライアントとし、WindowsパソコンでiPrefの公式サイトからダウンロードしたコンパイル済みバイナリー(iPerf 3.1.3)を実行してサーバーとしました。

結果として上の画像のようにダウンロード速度が9459Mbpsと、ほぼ10Gbps相当の速度を確認できました!これなら高解像度動画などの大容量データのアップロードやダウンロードも快適にできそうですね!

各種ストレージの速度は?

ネットワークが高速ならストレージの速度にも期待できそうです。
Thunderbolt 3とUSB 3.2 Gen 2、2つの接続方式に対応したSSD「OWC Envoy Pro FX」を両方の方式で本製品に接続して、ファイルコピーの速度を検証してみました!

iPadではMacのようなベンチマークソフトが見つからなかったため、iPadOSに付属の「ファイル」アプリを使ってファイルをコピーする時間を手元のストップウォッチで計測しました。
検証のために用意したデータは9ファイル、合計18.07GBをまとめてコピーし、各パターン3回ずつ計測して平均値を出しています。

  1回目 2回目 3回目 平均 速度
Thunderbolt
SSD→iPad
17.75秒 17.13秒 17.40秒 17.43秒 1,037MB/s
Thunderbolt
iPad→SSD
13.89秒 13.97秒 12.89秒 13.58秒 1,331MB/s
USB
SSD→iPad
23.65秒 23.20秒 24.70秒 23.85秒 758MB/s
USB
iPad→USB
22.94秒 24.25秒 22.97秒 23.39秒 773MB/s

結果として、タブレットOSとしてはかなり良好な数字となっています。
特にThunderbolt接続ではiPadからSSDへとSSDからiPadへのコピー双方で1,000MB/sを超えています!
iPadへのコピー時よりSSDへのコピー時の方が3割程度早いのはiPad内蔵ストレージの速度の影響と思われます。
将来的にiPad本体のストレージ性能が上がれば、OWC Envoy Pro FXのスペック値である2700MB/sに近い数値も期待できるかもしれません。
またUSB接続の場合も双方のコピーパターンで750MB/s以上と、ポート性能にふさわしい数値となっています。
これなら映像など大きめのデータを持ち運ぶためにiPadにコピーする作業も苦になりませんね!

外付けSSDのコピー速度を調べた後に本製品に搭載されているCFexpress Type BスロットについてもiPadで性能が発揮できるのか気になったので、SSDと同じようにコピー時間を測ってみました。
検証メディアは前回と同じく「Wise CFexpress Type B カード CFX-B PROシリーズ」を使用しています。
※表中の「CFX」はCFexpressカードを表します。

  1回目 2回目 3回目 平均 速度
CFX→iPad 17.71秒 17.64秒 17.54秒 17.63秒 1,025MB/s
iPad→CFX 16.24秒 16.19秒 16.12秒 16.18秒 1,117MB/s

前回パソコンで計測したベンチマークの数字はやや下回りましたが、それでも双方向のコピーで1,000MB超とThunderbolt 3接続のSSDに匹敵するスピードです!
ロケ現場で撮影したデータをメモリーカードから直接読み込んでiPadにコピーしたり、ネットにアップロードするなど、スピードを活かして様々な作業にストレスなく使えそうです!

Pro以外のiPadでは使えないの?

Thunderbolt / USB 4ポートを搭載したiPad Proで本製品の機能が問題なく使えることは分かりましたが、こうなるとUSBのみに対応した他のiPadに本製品を繋いだ場合にどうなるのか?も気になってきました。
ということで実際に、USB Type-Cポートを搭載したiPad mini 第6世代(iPadOS 15.6)に本製品を繋いでみました!
その結果は…
まあ当然ですが、ご覧の通り「Thunderboltアクセサリを使用できません」ということで、iPadからきっぱりとお断り(?)されてしまいました!
本製品が使えるiPadはスペックのとおり、Thunderbolt / USB 4ポートを搭載したモデルのみ、ということになります。
ちなみに上記メッセージが表示されているときに本製品にUSB機器などを繋いでも、本製品から電力も供給されず動作もしません。
なお、本製品がThunderbolt 3に対応したパソコンやタブレットに繋がっていて動作中であれば、USBのみに対応したiPadを繋いで充電することはできます。

iPad Proユーザーにもおすすめのハイエンドドッキングステーション!

ということでここまで見て来たとおり、本製品に搭載された機能は10Gbpsネットワークも含めてすべてThunderbolt / USB 4ポートを搭載したiPad Proでも動作します!
ハイエンドカメラでCFexpressカードに収録した画像や映像データを参照したり、それを10Gbpネットワーク経由でサーバーに保存する、といった作業もiPadで行うことができます。もちろん映像関連以外にも、複数機器の接続や大容量ストレージが必要となる様々な用途でお使いいただけます!
iPadで、外付けストレージやネットワークを通じて大容量データをやり取りしたい、そんな方におすすめの製品です!

以上、Thunderbolt 3対応ドッキングステーション「OWC Thunderbolt Pro Dock」のご紹介でした。本製品は2022年7月29日より好評発売中です!

OWC Thunderbolt Pro Dock ¥85,000(税込)

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