OWCブランドの新製品として、各種パソコン/タブレット/スマートフォンに対応したUSB 3.2 Gen 1対応ドッキングステーション「OWC USB-C Travel Dock E」が2021年10月8日に発売となります。
本製品は2020年12月に発売された超小型ドッキングステーション「OWC USB-C Travel Dock」の後継製品です。
持ち運んで使うことを前提とした軽量・コンパクトなサイズ感はほぼそのままに、有線ネットワークポートなどの機能を追加・強化した製品となっています。

OWC USB-C Travel Dock Eの概要

OWC USB-C Travel Dock E(以下、「本製品」と表記します)は、USB-Cポート経由で各種パソコン/タブレット/スマートフォンに様々な機能を追加することができるドッキングステーションです。

先代の「OWC USB-C Travel Dock」(以下、「旧製品」と表記します)と同様に収納式のUSB-Cケーブルを搭載していて、このケーブル1本で各種USB機器とUHS-II対応のSDカードリーダー、4K対応HDMIポート、そして本製品で新規に追加された有線ネットワークポートが利用できるようになります。この他HDMIポートの機能も旧製品から強化されました。

なお本製品の肩書は「USB 3.2 Gen 1対応ドッキングステーション」となっていますが、「USB 3.2 Gen 1」という表記は主にマーケティング的な理由によるもので、実際の仕様はUSB 3.1 Gen 1と変わりありません。データ帯域はどちらも5Gb/sです。
つまり、USB 3.1 Gen 1以降に対応したUSB-CポートかThunderbolt 3/4ポートを搭載したパソコン/タブレット/スマートフォンであれば、本製品をお使いいただけます。

OWC USB-C Travel Dock Eのいいところ

旧製品の特徴のひとつだった、コンパクトなボディに収納できる本体直付けのUSB-Cケーブルは本製品も引き継いでいます。
ケーブルを別途持ち運ぶ必要がなく、モバイル用途に非常に便利です。
また本製品が先代から引き継いだもう一つの特徴である「USB PDパススルー給電」機能ももちろん搭載しています!
別売りのUSB Power Delivery(USB PD)対応ACアダプターを接続することで、本製品に接続されたスマホ、タブレット、パソコンやUSB機器に電力を供給可能です。

以上のような旧製品から引き継いだモバイルドッキングステーションとしての特徴はそのままに、有線ネットワークポートが追加されHDMIポートの性能もアップしているのが本製品の特徴です!

新旧製品を比べてみる

それでは本製品と旧製品の違いについて、双方をならべた写真を見ながら確認してみましょう。
写真左が本製品、右側が旧製品です。
まずは天面から。設置面積は同サイズなので、上から見たときの大きさに違いはありません。

旧製品では天面がフラットな黒一色でしたが、本製品にはOWCのロゴが入っています。このロゴの右上に、旧製品と同じく動作中に点灯する電源LEDが搭載されています。

次に各種ポートが装備された側面側を比較してみましょう。
本体サイズとしては本製品の方が厚みが2mm増えているので、並べて見る少しだけ高さがあります。重さも旧製品の170gから本製品は180gとなり、僅かながら増加しています。
旧製品ではUSB Type-AポートとHDMIポートがあった面に、本製品では「USB-C補助電源ポート」が追加されています。
では旧製品で「USB-C補助電源ポート」があった面に、本製品では何があるのかというと…
ご覧の通り、本製品の特徴の一つである、有線ネットワークポート(RJ-45)が搭載されています!電波などの影響で無線LANが不安定な場所でも、有線なら安定したネットワーク接続を保てます。
そして最後にSDカードスロットとUSB Type-Aポートのある面。
こちらは新旧製品で全く同じ構成になっていますね。

それでは次に、本製品で追加された機能である有線ネットワークポートと、機能強化されたHDMIポートについて見ていきましょう。

新機能その1:有線ネットワークポート搭載

有線ネットワーク(イーサネット)ポートはその名の通り、ネットワークケーブルを接続してネットワークに繋げる機能です。ギガビット(1000BASE-T)対応なので、無線LANと比較した場合に高速で安定した通信が期待できます。
無線LANでZOOMやSkypeの映像が安定しない場合の改善策として、あるととても便利です。
旧製品を使っていると、「これで有線LANもあると完璧なんだけどなー」と思うことが度々あったので、個人的には痒いところに手が届く追加機能だと思います!
製品名「OWC USB-C Travel Dock E」の末尾のEは”Ethernet(イーサネット)のE”なんですね、たぶん。

新機能その2:HDMIポートが4K/60Hz対応に!

見た目上は旧製品と変わりないHDMIポートですが、旧製品では4K/30Hzまでだった映像出力が本製品では仕様が強化されて4K/60Hzまで対応可能となっています。
ただしこの点については注意が必要で、社内のMac/PCで確認したところ、すべての機種で4K/60Hzができるわけではないことが分かりました。

Macでは13インチのMacBook Pro(2017, Thunderbolt 3ポートx 4) で60Hzでの出力ができず4K/30Hzまでである一方、15インチのMacBook Pro(2018)は4k/60Hzでの出力が可能でした。
またApple M1搭載のMacBook Pro(13-inch, 2020) では本製品経由で4K/60Hzの出力が可能でした。

WindowsパソコンではレノボとHPの2つの機種、ThinkBook 13 Gen 2およびSpectre x360 13で確認しましたが、前者は4K/60Hz出力が可能、後者は4Kだと30Hzまでの対応という結果でした。

これらの制限についてOWCに問い合わせたところ、4K/60Hzで出力するためには「パソコン側がDP1.4に対応している必要がある」と回答がありました。
具体的にはUSB-CからHDMIに映像を出力する際に使われる「DisplayPort 1.4 Alternate Mode」という機能(以下「DP1.4」と表記します)があり、このバージョンに対応していないパソコンでは4Kの出力が30Hzまでに制限されます。

ちなみに、本製品では4k/60Hzに対応できない上記13インチ MacBook Pro 2017年モデルでも、OWCの別ブランドであるNewerTechのUSB-C対応HDMIアダプター「NewerTech USB-C to HDMI Adapter」(以下、「NewerTechアダプター」)からは4k/60Hzでの出力が可能でした。
これは本製品とNewerTechアダプターの仕様の違いによるものです。

DisplayPort信号は「レーン」という単位で区切られていて、最大4レーンまで使用できます。
また1レーンあたりの帯域幅がバージョンごとに異なり、DP1.4では1レーンで8.1Gbpsまで転送できます。
DP1.4なら2レーンで4K/60Hzを出力できますが、DP1.2では1レーンあたりの帯域が5.4Gbpsで1.4より低いため、2レーンでは帯域が足りず出力できません。
本製品ではUSB-Cの帯域をUSB機器とHDMI用で半分ずつシェアしているため、DPのレーンは2レーンまでしか使用できません。
このため、DP1.4のパソコンでは最大出力が4K/60Hzまで出力可能ですが、DP1.2では4K/30Hzまでに制限されます。
一方のNewerTechアダプターは帯域すべてがHDMIに割り当てられていて、DPの4レーンすべてを使うことができます。
DP1.2のパソコンでも4レーンすべてを使えば4K/60Hzでの出力が可能なので、NewerTechアダプターはDP1.4とDP1.2双方に対応したパソコンで4K/60Hzが出力できるのです。

なおDP1.2とDP1.4の間の規格としてDP1.3も存在しますが、スペックとしてDP1.3を表明しているデバイスが市場に確認されていないため、OWCとしては本製品から4K/60Hzを出力する条件を「DP1.4対応」としています。

いろいろややこしい説明になってしまいましたが、結論としては「DP1.4に対応したデバイスでないと本製品では4K/60Hzで出力できない」ということで、本製品の新機能を有効に使うのには注意が必要です。

新機能以外の変更点

ここまで本製品で旧製品からアップデートされた点をご紹介しましたが、これ以外にもいくつか変更点があります。
一つは本体サイズで、上から見たときの幅と奥行きは共に80mmで旧製品と同じですが、厚さが旧製品の23mmから本製品では25mmに、重さも旧製品の170gから本製品では180gと、それぞれわずかながら増加しています。
もう一つの変更点は、「USB PDパススルー給電」機能に関してです。
接続可能なUSB Power Delivery(USB PD)対応ACアダプターの最大電力が100Wであることは共通していますが、本製品はドッキングステーション自体が8Wの電力を消費するため、パソコンやUSB機器に供給できる電力は92Wまでとなります。

M1 iPad Proで使ってみた!

本製品も旧製品と同様に、MacやWindowsパソコンだけでなく一部のAndoroidスマートフォンやiPad、Chromebookなどに対応しています。
今回はApple M1チップを搭載したiPad Proで使ってみました。HDMI、有線ネットワーク、USBポートなど、本製品の機能は一通り、USB-Cポートを搭載したiPadでも利用できます。
ひとつ注意点として、今回接続したUSBキーボードは日本語配列ですが、OS側ではUSキーボードとして動作しているようで、一部の記号などが正しく入力できませんでした。
ネットで調べてみたところ、現状iPadOSでは外付けキーボードを単独でつなぐとUS配列固定でしか使えないようです。ここはmacOSのように配列を選べるアップデートが欲しいところです。

なおHDMI出力はM1搭載MacBook Proと同様に、4K/60Hzで可能でした。基本的にiPad画面のミラーリングになるので縦横比の違うテレビ画面では余剰が出ますが、一部の動画/画像系ソフトでは上の写真のようにテレビ画面全体を使ってコンテンツを再生できます。大画面での映画鑑賞もOKです!

サイズはほぼそのままでより便利になりました!

本製品も旧製品と同様、iPad以外にWindowsパソコン/Macはもちろん、USB-Cポートを搭載したAndroidスマホ/タブレット、ChronrbookやLinuxにも対応しています。
上記のとおり厚みが2mm、重さが10gとそれぞれ僅かに増えてはいますが、ネットワークポートが追加されてより便利になり、HDMI出力も強化されているのでモバイルドッキングステーションとして活用の幅は広がっていると思います。旧製品のコンパクトさはそのままに、便利な機能が増えてさらに完成度の上がった、新しい「トラベルドック」です!
以上、USB 3.2 Gen 1対応ドッキングステーション「OWC USB-C Travel Dock E」のご紹介でした。
本製品は2021年10月8日発売予定です!

OWC USB-C Travel Dock E  ¥9,900(税込)

(アミュレット オンライン・ショッピング /Amazon.co.jp / Yahoo!ショッピング

OWC USB-C Travel Dock E製品ページ