高速データ伝送インターフェイスとして期待されるThunderbolt
Thunderboltが発表されてから早くも2年近くが経過しました。ThunderboltはIntelとAppleが共同開発した規格のため、現在ではMacbook Pro(Retinaディスプレイモデル)やMacBook Airをはじめとしたノートブックから、Mac Proのようなハイエンドの製品まで標準搭載されています。昨年の6月には後継規格のThunderbolt2も発表されましたね。
Apple製品以外を見てみると、コンシューマ向けのマザーボードでIntel Z77やIntel Z87チップセット搭載のものが、標準でThunderboltポートを使えるようになっています。
そこで今回は、先日アミュレットから発売開始したDelock 42510 Thunderboltケースを使ってWindows 7とMac OSX(10.8.5)間で高速なデータ共有を実現するために、Thunderboltの動作実験をしてみました。「Thunderbolt余ってるし、使ってみようかな」という方の参考になれば幸いです。実験対象はアミュレットで良く使っているLinuxディストリビューションも加えた以下の5つです。
- Windows 7 Professional
- Windows 8 Pro
- Mac OSX 10.8.5
- CentOS 6.5
- Ubuntu 13.10
まずは実験結果から
検証過程を書くと長くなってしまいますので、まずは実験結果から!
結果は以下の通りです。(クリックで拡大表示)
Z87チップセット搭載のマザーボードは Intel DZ87KLT-75K
Z77チップセット搭載のマザーボードは Intel DZ77RE-75K です。
結果的にはZ77で動かしたWindowsのみThunderboltを使えました。
転送速度はお馴染みのベンチマークツールを使って測ってみました。WindowsとMacで速度に差が見られるものの、数GBくらいのデータをコピーする場合はほとんどストレスを感じませんでした。
(実験に使ったSSDについては下の方をご覧ください)
Windows 7 Professional
Mac OSX 10.8.5
実験の目的
冒頭にも書きましたが、今回の実験では「Windows−Mac間の高速データ転送」を実現する手段として、Thunderboltポートを活用することを目的としています。
2014年現在では、USB3.0の方が対応しているデバイスが多いと思います。今後はApple製品以外にもThunderboltに対応したPCやデバイスが増えてくると思いますので、OSの異なる環境で大きなデータを高速にコピーしたい方にとっては役に立つ情報だと思います。
Thunderboltを使うメリットとは?
改めてThunderboltを使うメリットって一体何なのか…?考えてみることにしました。
有名なGizmodeでも「Thunderbolt VS USB3.0」を検証していましたので、良かったらこちらも見てみて下さい。
http://www.gizmodo.jp/2013/03/_thunderbo.html
それぞれの特徴を表にまとめてみました。
一見Thunderboltの分が悪そうな感じですが、この項目だけでは推し量れないところがありそうです。
Thunderboltのいいところ
USB3.0と比較した場合に、Thunderboltの方が明らかに勝っているところだけ挙げてみます。
- PCI ExpressのデータとDisplayPortの映像信号を、一つのケーブルで送受信することができる
- USBより強力な給電能力を持っている
1について一言で言えば、拡張性が高いということです。ディスプレイ出力元(先)としても使えるし、ファイルの転送にも使えます!
2については、強力なバスパワー給電でデバイスによっては電源に接続する必要がないということです。コンパクトに使用できるという意味で非常にいいところだと思います。
(今回使用したDelock 42510 Thunderboltケースはバスパワー給電には対応していません、、電源供給が必要になります)
では、ここからは具体的な実験の内容について書いていきたいと思います。
実験に使ったもの
- Delock 42510 Thunderboltケース
昨年末にアミュレットで発売を開始したThunderboltケースです。
https://www.amulet.co.jp/products/Delock/
- Windows 7 Professional搭載 PC
今回はIntel DZ87KLT-75K、Intel DZ77RE-75K搭載のPCを使いました。
- MacBook Pro Retinaディスプレイモデル
- ストレージ Intel SSDSC2CW240A3K5
Intel公称では以下の性能ということでした。
シーケンシャル・リード 550 MB/s
シーケンシャル・ライト 520 MB/s
実験の前準備
WindowsでもMacでも読み書きできるストレージを用意する必要がありますので、用意したSSDをexFAT形式にフォーマットします。exFATはSDカード等のフォーマット形式として良く使われています。フォーマット作業はWindowsでもMacでも可能です。以下のリンクが参考になると思います。
バッファロー ハードディスクをexFAT形式でフォーマットする方法(Windows 7/Vista™ SP1)
http://faq.buffalo.jp/app/answers/detail/a_id/1687
Macの場合、「ディスクユーティリティ」を起ち上げて、フォーマットしたいボリュームを選択します。
フォーマットすると全てのデータが消えてしまいますので注意して下さい。
実験結果
実験結果は以下のようになりました。(再掲)
Z77チップセット搭載の Intel DZ77RE-75K では、正常にThunderboltストレージを認識することができました。しかし、Z87チップセットを搭載した Intel DZ87KLT-75K では、Thunderbolt接続のストレージを認識することができませんでした。
これに関して解決方法を調べていたところ、PC Watchでもうまく動かないと書いているライターの方がいました。
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/column/hirasawa/20140104_629571.html
今回の実験でも同じように正常に認識されませんでした。Thunderboltが認識されなかった原因については、Delock 42510 Thunderboltケースの側とマザーボード側で引き続き検証中です。進展があれば続報としてこの記事に追記していきたいと思います。
データ転送速度ベンチマーク結果
読込み、書込みともにMacに軍配が上がりました。4GBと1GBのデータをそれぞれWindowsとMacにコピーしてみたところ、確かに体感でも結果の数字には納得できました。
Windowsでの書込み速度は以前ブログで紹介した記事の記録よりも落ちています。実験で使っているSSDを長期間使用していることによる劣化か、あるいは速度に振れ幅が大きい時があるのでその影響かもしれません。いずれにしてももう少し検証が必要そうです。
体感速度の方は十分に早いと感じました。
まとめ
Thunderboltをうまく活用できれば、もしかすると今までデータのコピーにかかっていた時間がかなり短縮できるかもしれません。最新のMacとThunderboltポート搭載のWindowsをお持ちでしたら、是非外付けストレージの利用を考えてみてはいかがでしょうか。コスト面での心配はUSB3.0との上手な使い分けができると解決できそうです。
当記事で使用した実験環境を、まるごと店頭で展示しています。(2014/02/17〜2014/02/28)
この機会に是非Thunderboltを使ったデータ転送を体感してみてください。
当記事で使ったThunderboltケースはAmazonと弊社オンラインショッピングから購入できます。
オンラインショッピング:https://ssl.amulet.co.jp/shop/price_list.php?cate=Delock
Amazon:http://www.amazon.co.jp/Delock-42510-Thunderbolt-%E3%82%B9%E3%83%88%E3%83%AC%E3%83%BC%E3%82%B8%E3%82%BB%E3%83%83%E3%83%88-240GB/dp/B00HJPZZOA/ref=sr_1_1?ie=UTF8&qid=1392626595&sr=8-1&keywords=delock+%E3%82%A2%E3%83%9F%E3%83%A5%E3%83%AC%E3%83%83%E3%83%88