POWERSTEP Towerについてのブログ更新は実に1年半以上振りとなりますが、その間に搭載可能なCPUがIntel 第13または14世代 Coreシリーズになりました!メモリもDDR5となり一世代前のPOWERSTEP Towerからは一線を画す進化を遂げています。そこで今回は様々な項目のベンチマークを測定することで、新しくなったPOWERSTEP Towerの性能を多角的に検証していきたいと思います!
POWERSTEP Towerのスペック

- CPU
第13世代Core i7-13700F - メモリ
DDR5-5600 32 GB - GPU
NVIDIA GeForce RTX 4070 Ti - ストレージ
Crucial P3 Plus 500GB PCIe M.2 2280 SSD - マザーボード
Z790 Pro RS WiFi
使用したベンチマークソフト
Windows
- Cinebench 2024
CPUまたはGPUのレンダリング性能測定 - Blender Benchmark
GPUのレンダリング性能測定 - Stable Diffusion Web UI
AIイラスト生成の性能測定 - CrystalDiskMark
ストレージの読み書き速度測定 - iPerf3
ネットワーク速度測定
Linux
- SysBench
CPU性能測定 - Mysqlslap
データベース性能測定
Cinebench 2024
Cinebench 2024はCPUのベンチマークソフトとして有名なCinebenchの最新バージョンです。CPUのマルチコア、シングルコアでのレンダリング性能測定に加え、最新バージョンではGPUのレンダリング性能も測定できるようになりました。
まずはCPUのマルチコア性能から見ていきましょう!
CinebenchのCPU(Multi Core)を実行してみると「1057」というスコアが出ました!このスコアが高いほど性能が良いということになりますが、ネット上に公開されているベンチマーク結果と比較してみると前世代のCore i7-12700より若干スコアがアップしています!とはいえ誤差程度なのでマルチコア性能についてはあまり差がないのかもしれません。
次はシングルコア性能を見ていきます!
CPU(Single Core)を実行した結果スコアは「121」となりました!こちらも ネット上に公開されているベンチマーク結果 と比較してみたところCore i7-12700から約1.13倍スコアが増加していました!こちらも大きな差ではありませんが、多くのアプリケーションはシングルコア性能が重要視されるため、マルチコア性能に比べて実感しやすいのではないでしょうか!
次はGPUのベンチマークをしてみます。さっきまではCPUの性能を測定していましたが、実験に使っているPOWERSTEP TowerはRTX 4070 Tiを積んでいますのでこちらの性能を測るベンチマークになります。
GPUの場合はスコアが一気に跳ね上がり「19212」というスコアが出ました!しかしこの結果を ネット上に公開されているベンチマーク結果 と比べてみると、掲載されているほどの数値は出ていませんでした。GPUの性能はそれを発揮できるだけのCPUパワーが必要ですので、今回は恐らくCPUがボトルネックになっているものと思われます。
今回のブログでフルパワーのPOWERSTEP Towerをお見せできないのは心苦しいですが、BTOではCPUをCore i9に変更できますのでGPU性能をフルに使いたいという方はぜひそちらをご利用ください!
Blender Benchmark
Blenderは色々な機能がありますが主に3Dモデリングに多く利用されているソフトウェアです。多機能ながらライセンス料が無料でクロスプラットフォームに対応していることからアマチュアのユーザーに多く利用されています。
3DモデリングにはGPUの性能が重要になりますので、利用者も多いBlenderの公式ベンチマークを使用してPOWERSTEP TowerのGPU性能をテストしてみました!

こちらのベンチマークは3つのスコアを合計したものが最終スコアとなります。今回の最終スコアは「6271.92868」となりました。
この結果をBlenderが公表しているベンチマーク結果(2024/4/4時点)と比較してみると、やはりRTX 4070 Tiとしてはすこし低めのスコアのようです。とはいえ、RTX 30シリーズの上位モデルであるRTX 3090よりも高いスコアが出ていますので3Dモデリングの作業環境としては十分と言えるのではないでしょうか。
Stable Diffusion Web UI
Stable Diffusion Web UIとはStable Diffusionという画像生成AIをWebブラウザ上で実行するためのツールです。無料で利用することができ構築も簡単なためユーザーも多いようです。
画像生成のベンチマークとしてHello Asuka Benchmarkと呼ばれているものがあります。これは画像生成時のパラメーターを揃えることで同じ画像が生成されるかどうかを検証するためのものですが、所要時間から画像生成性能の比較にも利用されています。
ネットの情報を参考に以下の設定でHello Asuka Benchmarkを行いました。

実行した結果はこちらです。

所要時間は「18.3秒」という結果になりました。同じベンチマークを行っているブログの結果と比較してみると、やはりRTX 4070 Tiとしては若干時間がかかっていました。とはいえ20秒以内に画像生成ができるグラフィックボードは上位のものに限られており、それなりの性能が出ているように見えます。
CrystalDiskMark
CrystalDiskMarkはストレージの読み書き速度を測定する定番のベンチマークソフトで過去の記事でも度々紹介しています。
シーケンシャルアクセス速度を示すSEQ1M Q8T1では読みが4120.94 MB/s、書きが2899.66 MB/sという結果になりました。メーカー公称値と大分ズレがありますが、実際にパソコンを利用するときに重要なのはランダムアクセス速度です。
ランダムアクセス速度を示すRND4K Q1T1では読みが81.38 MB/s、書きが311.43となりました。ランダムアクセス速度をまとめているようなサイトは見つかりませんでしたが、M.2 SSDとしては十分な速度が出ているようです。
iPerf3
iPerf3はネットワークの通信速度を測定するベンチマークソフトです。マザーボードに採用している「Z790 Pro RS WiFi」は2.5 GbEのLANポートを搭載していますが実際にどれくらいの速度が出るのか測定してみました。
測定の結果「2.34 Gbits/sec」とほぼ理論値の速度が出ることがわかりました!他のネットワーク機器やNASなどの機器も2.5 GbE対応のものを利用することで快適なデータ通信が期待できます!
SysBench
今まではWindowsで性能を測定していましたが、ここからはLinuxでも性能が発揮できるのかどうか検証をしていきます。
SysBenchはLinux上で動作するベンチマークソフトでCPUやメモリ、ストレージの読み書き速度などの性能測定ができるソフトウェアです。
今回はRocky Linux上のSysBenchでCPU性能を測定してみました。
Running the test with following options: Number of threads: 1 Initializing random number generator from current time Prime numbers limit: 10000 Initializing worker threads... Threads started! CPU speed: events per second: 4501.09 General statistics: total time: 10.0001s total number of events: 45015 Latency (ms): min: 0.22 avg: 0.22 max: 0.41 95th percentile: 0.22 sum: 9997.35 Threads fairness: events (avg/stddev): 45015.0000/0.00 execution time (avg/stddev): 9.9973/0.00
SysBenchのベンチマーク結果のリストはこちらのサイトに載っていたものを参考にしました。サイトには「Events Per Second (Average)」とありますが数値的に「total number of events」の数値を参照しているようですので、今回の結果は「45015」ということになります。それを踏まえて比較してみると、同じ型番のCPUはありませんでしたが前世代のCore i7-12700よりも高い数値が出ていることがわかりました!
LinuxでもそれなりのCPU性能が発揮できているようです。
Mysqlslap
Mysqlslapはデータベース管理システムの一つであるMysqlが公式にサポートしているプログラムでMysqlの負荷をエミュレートすることができます。ただMysqlslapについての情報は少なかったためオリジナルの設定での検証となります。検証時には以下のコマンドを実行しました。
# mysqlslap -uroot -p -P 3306 -h localhost --auto-generate-sql --iterations=200 --concurrency=50
「–iterations」は実行するテストの回数、「–concurrency=50」はエミュレートするクライアントの数を指定するオプションです。
結果は以下のようになりました。
結果にはクエリの平均・最小・最大実行時間が表示されます。今回は平均0.025秒、最小0.022秒、最大0.032秒という結果になりました。
50クライアントが同時にクエリを実行してこの時間であれば、小規模でのDB利用には十分なのではないでしょうか。
まとめ
今回は新しくなったPOWERSTEP Towerで色々なベンチマークを採ることで様々な観点から評価してみました!
CPUのシングルコア性能やGPU性能も高いため、通常のオフィスワークはもちろん2Dや3Dのクリエイティブな業務にもおすすめできます!ただし、GPU性能を最大限に活かすにはCPUにCore i9を選択する必要があります。
今回は7種類のベンチマークを紹介しましたが、1つでも良いので今お使いの環境で試していただき、今後どんな性能が必要になるかの参考にしていただけますと良いかと思います。
POWERSTEP TowerのBTOでは各種パーツをお好みにカスタマイズいただけますので、「もっと良い性能が欲しい!」という方はもちろん「そんなに性能はいらないから安く抑えたい」という方もぜひBTOページをチェックしてみてください!