昨年に取り扱いを開始してから、様々な機能や拡張性に高い評価をいただいている、Sound Devices社のHDMI対応 プロダクションビデオレコーダーPIX 220
現在は「PIX 220」の後継製品として、液晶画面がIPS仕様に変更された「PIX 220i」と、SDI入力にも対応した上位機の「PIX 240i」がシリーズにラインアップされています。(アミュレットでのPIX 220iPIX 240iの取り扱い開始についてはもうしばらくお待ちください…詳しくはこのページの最後で。)

 更にそのシリーズ最上位モデルとなる、据え置き仕様の「PIX 260i」が昨年発表されました。

発表から実際の発売まで少し時間がかかっていましたが、この度、輸入元の日本テックトラスト様より日本上陸第1号機をお借りすることができましたので、ファーストインプレッションとしてご紹介いたします!

この手のレコーダーとしては見た目でかなり「ゴッツイ」印象がありますが、それもそのはず、カメラと繋いでアクティブに撮影を行うPIX 220iPIX 240iと違って、このPIX 260iは据え置きで正に旗艦(というか母艦?)的な使い方を前提としたモデルになっています。
そのため、PIX 260iを2台横にならべてラックマウントできるオプションも用意されています。

背面は各種インターフェイスが山盛り!
SDI・HDMIやライン入力などの基本的な映像・音声入出力から、eSATAp、ネットワーク端子など様々なポート類が目いっぱい並んでいます。
プロ用機材に慣れない素人目線では「わけがわからないよ!」的な状況になりかねない程の充実ぶりです。
このポート類こそが、PIX 260iの豊富な機能を表しています。
特にネットワークポートによる各種機能(後述)は他の製品には見られないものです。

 
さて、実はこのPIX 260iの記録メディアであるSSDの差し込み口(SSD ドライブベイ)は、液晶パネルを正面に開いた内側にあります。ここに、専用アダプター「PIX-CADDY」を取り付けたSSDを挿入します。
従来機種では1台のみだったこのSSD ドライブベイが、PIX 260iでは2台分に増設されています。
さらになんと、背面に搭載されたeSATApポートへ1台ずつハードディスクを繋ぐと、合計4台までのドライブを接続できてしまいます!
これがこの機種の特徴のひとつで、この4台のドライブに同じ映像を同時に録画することができるのです。
同時に録画した素材は、eSATApに繋いだHDDのデータを保管用として残し、SSDを編集用に持ち出す、などの応用的な使い方ができそうです。

小技として、前面のUSBポートにキーボードを接続すると、各種メニュー操作や文字入力ができます。
特にクリップ名などの文字入力(英数字のみ)については、コントロールノブをグルグル回して文字を選択する本体操作に比べて格段に快適になります。勇者の名前を「ああああ」にしがちな、せっかちな人もこれで安心ですね。
ちなみにこの機能は従来のPIXシリーズにもありますが、据え置き機であるPIX 260iではより効果的だと思います。

 

さて、PIX 260iのもう一つの目玉(?)として、ネットワーク対応による各種の便利な機能が搭載されています。

このうち、「Webベースコントロール」と「Sambaによるネットワークファイル共有」を実際に試してみました。

Webベースコントロール」は、パソコンやスマートフォン、タブレット端末などからWebブラウザを通してPIX 260iの操作を行うことができる機能です。
例えば、スタジオでラックマウントされたPIX 260i内の映像を再生したいときに、わざわざ実機の手前まで行って操作しなくても、モニターの前に座ったままiPadを操作するだけで映像クリップを選択して再生することができます。


もちろん録画操作も可能です。
この他、各種メニューを開いて設定を変更することもできるので、通常の操作については実機に触る必要は無さそうです。
ネットワーク経由なので若干のタイムラグは感じますが、据え置き機でこそ便利に使える機能です。

こちらが実際のブラウザ上のコントロール画面。
実機を模したデザインになっています。

そして「Sambaによるネットワークファイル共有」。
「Samba」とは、UNIX系OSにWindowsネットワークの機能を提供するフリーソフトウェアです。
PIX 260iはこのSambaの機能を使ってWindows向けファイルサーバとして動作します。
ネットワークに繋いだPIX 260iでこの機能を有効にすると、同じネットワーク上のパソコンからPIX 260i内のクリップをファイルとして参照したり、パソコンへコピーすることができます。(残念ながら、パソコンのファイルをPIX 260iへ書き込むことはできません。)
現在はMac OS Xなど、Windows系でなくてもWindowsネットワークを参照できるOSや機器が多数あるので、様々なデバイスからこの機能を利用できると思います。
この機能をVPNなどと併用すれば、離れた場所からでも本機内のクリップを参照することが可能になります。
遠隔地の担当者に映像編集を頼んだり、複数のメンバーでクリップを共有するなどの使い方ができそうです。
なおこの機能を有効にすると、上記「Webベースコントロール」機能が利用できなくなります。

WindowsからPIX 260i内部のドライブを参照した様子。
2台のSSDが個別のフォルダとして参照できます。

SSDからパソコンへファイルをコピーしているところ。
無線LAN経由でコピーすると、速度的なパフォーマンスはそれほど出ません。
近場にあるドライブからコピーするならPIX-CADDYを直接パソコンに接続した方が速いので、あくまで離れた場所からクリップを参照するための機能と割り切って使う必要がありそうです。

今回検証できた内容はここまでですが、ご紹介した以外にも、PIX 260iには以下のような機能・特徴があります。

・3G-SDI入力(12bit 4:4:4)からの録画に対応(Apple ProRes 4444)
・豊富なオーディオインターフェイス
・ネットワークオーディオ転送規格「Dante」対応
・オーディオ専用モード(WAVファイル収録)も搭載


音声トラックは最大32トラックまでサポートしています。

この他、PIX 260iの詳しい仕様については、日本テックトラスト様の製品紹介ページをご覧ください。

さて、このPIX 260iにPIX 220i、PIX 240iを加えたSound Devicesのビデオレコーダー全機種について、アミュレットでの取り扱いを間もなく開始する予定です!

このお披露目として、5月にPIX 260iを含めたビデオレコーダー製品の展示を秋葉原店舗で行う計画がただいま進行中です。
機能性の高いSound Devices社 ビデオレコーダー製品の実機に触って使ってお試しいただける、またとない機会となりますので、実施の際にはぜひご来店ください。
詳しいスケジュールは決まり次第、本ブログでご案内させていただきますのでお楽しみに!