サーバOSとしてのRed Hat、デスクトップOSとしてのUbuntu
サーバ管理者や開発者の方にとっては馴染みのあるLinuxですが、実際にLinuxを使ってみようという時に、ディストリビューション(種類)が多すぎて何を使ったらいいか良くわからないということも多いのではないでしょうか?
Linuxは現在大きな流れとして、有償のRed Hat Enterprise Linuxをベースにして作られている「RedHat系」と無償のDebianをベースにして作られている「Debian系」の2つの系統が最も有名で、実際に多く使われています。そしてRedHat=サーバ、Ubuntu=デスクトップ(クライアント)という認識が一般的です。…とは言っても実際に動かしてみないとなぜそういう使われ方をしているのか良くわからないと思います。
そこで今回は、弊社で販売しているPCに実際にRed HatとUbuntuの最新版をインストールして、使い勝手や新機能などを調べてみました。システム管理者の方のお役に立てば幸いです。
Linuxとは?|Linuxの基礎知識
https://ssl.amulet.co.jp/cat-user-linux/category/knowledge
検証環境は以下の通りです。
Red Hat Enterprise Linux 7について
Red Hat Enterprise linux 7(以下RHEL 7)は、2014年6月10日にリリースされたばかりの、企業向けLinuxディストリビューションです。Fedora 19とlinux kernel 3.10がベースになっています。その概要については、SlideShareで公開されていましたので、リンク先をご覧ください。
RHEL 7に関する記事まとめ
RHEL 7のリリースに合わせて情報を提供しているサイトをまとめてみます。
Red Hat Announces Availability of Red Hat Enterprise Linux 7 Beta第一回 Red Hat Enterprise Linux 7の新機能
http://www.hitachi-solutions.co.jp/redhat/sp/column/vol01/「Red Hat Enterprise Linux 7」がリリース――systemd導入、Dockerサポート
http://www.atmarkit.co.jp/ait/articles/1406/12/news108.htmlRed Hat Enterprise Linux(RHEL) 7.0がリリース、デフォルトで10年保証を提供
http://jp.techcrunch.com/2014/06/11/20140610red-hat-enterprise-linux-7-0-is-here-guarantees-10-years-of-compatiblity/Red Hat Enterprise Linux 7がリリース、XFS標準採用やsystemd搭載など
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20140612/563483/最新版「RHEL 7」に搭載される特徴的な6つの機能、レッドハットが説明
http://cloud.watch.impress.co.jp/docs/news/20140207_634254.html第36回 RHEL7の新しいファイアウォール機能「firewalld」
http://www.school.ctc-g.co.jp/columns/nakai/nakai36.htmlRHEL 7がついにリリース、XFSがデフォルトのファイルシステムに
http://sourceforge.jp/magazine/14/06/12/160000
これらをひと通り眺めてみて、わずかながらRed Hat系のOSを管理運用している筆者として気になったのは以下の3点です。
- カーネルが3.xにアップデートし、デフォルトのファイルシステムがXFSになった
- サービス管理に「systemd」が使われるようになった
- 新しいファイアウォール機能「firewalld」
1.カーネルが3.xにアップデートし、デフォルトのファイルシステムがXFSになった
カーネルが3.xにアップデートしたことで、2.xで使っていたソフトウェアがうまく動かないということが起こる可能性がありますが、これによって主要Linuxディストリビューションのカーネルは軒並み3.xに対応したことになります。またファイルシステムがデフォルトでXFSになったことで、500TBまでサポートされるようになりました。速度の向上も期待でいるかもしれません(これまでどおりext4も使えます)。RHELだけでなく、来るCentOS 7でシステム移行を行う際には、弊社でも色々と動作実験を行っていきたいと思います。
2.サービス管理に「systemd」が使われるようになった
まだ耳慣れない用語ですが、Fedora 15から組み込まれていたようです。これにより、従来のサービス管理に使用していたserviceコマンド(もしくは/etc/init.d/* スクリプト)やchkconfigコマンドは主流ではなくなりました。では具体的にどういったことが変わったのか、以下のブログで非常にわかりやすく解説されていましたので、引用させて頂きます。
RHEL 7 に採用される Systemctl コマンド
http://devnull.synergy-marketing.co.jp/2013/07/rhel7-systemctl/
Systemd入門(1) – Unitの概念を理解する
http://d.hatena.ne.jp/enakai00/20130914/1379146157
serviceコマンドとsystemctlコマンドを使った時の出力結果の違いを実際に実行して調べてみました。結果は以下のようになりました。
CentOSでも採用される可能性が高いと思われるので、これから使い方を憶えていく必要がありそうですね!
3.新しいファイアーウォール機能「firewalld」
これまでパケットフィルタリング機能として使われていたiptablesは引き続き維持しつつ、新たにfirewalldという機能が盛り込まれました。
- 設定変更時のファイアウォール一時停止が不要
- 現在実行中の環境と永続的な設定を分離して管理
firewalldについては以下のリンクで詳しく解説されています。
FirewallD/jp
https://fedoraproject.org/wiki/FirewallD/jp
その他
インストール画面とインストールの流れが大幅に変わっています。Fedoraのそれと同じようになって、個人的にはこれまでのRHEL 6より簡単でわかりやすくなったと感じました。rootのパスワードや一般ユーザの作成をインストールに行えるのも時間の短縮になってとても良かったです。
これからRed Hat系のLinuxディストリビューションを使う場合には、Fedoraで検証環境を作って実験していくことになりそうです。
Ubuntuについて
Ubuntuは、現在Linuxディストリビューションとしてもっとも使われています。昨今はスマートフォンのOSとしても注目されています。最新版のisoイメージは下記サイトより無料でダウンロードできます。
Ubuntu 14.04 LTS 日本語 Remix リリース
https://www.ubuntulinux.jp/News/ubuntu1404-ja-remix
Ubuntu 14.04をインストールすると以下の協力なソフトウェアを利用することができます。MicrosoftのOfficeとも互換性のあるLibre Officeなどがあり、デスクトップとして使うにはほとんど申し分ないですね。Ubuntuの良い点として、最新のハードウェアでなくともある程度快適に動作する点が挙げられます。サポート期限が満了して退役となったWindows XPマシンにインストールして使うこともできますね!
14.04でインストールされるアプリケーション
このリリースと一緒にデフォルトでインストールされるアプリケーションには、ブラウザの「Firefox」バージョン28.0、電子メールクライアントの「Thunderbird」バージョン24.4、Officeスイートの「LibreOffice 4.2.3.3」が含まれる。さらに、「Shotwell 0.18.0」(写真管理ソフト)、「Brasero 3.10.0」(CD/DVD書き込みソフト)、「Rhythmbox Music Player 3.0.2」も含まれている。これらのアプリケーションは、すべてベータ版以降改訂されている。デフォルトでインストールされているわけではないが、「GIMP 2.8.10」(ビットマップエディタ)と「Inkscapoe 0.48」(ベクトルエディタ)もソフトウェアセンターからインストールできる。
http://japan.cnet.com/news/commentary/35047498/3/
UbuntuはVirtual BoxやKVMを使って、仮想マシンとして使う方法も非常にお勧めです。過去にこのブログでもVirtual Boxを使ってUbuntuを動かしています。ご興味があればご覧ください。