突然やってきたテレワークの波

今月7日に政府の緊急事態宣言が出されてから半月が経ちました。そして、先週16日には緊急事態宣言対象地域が全国に拡大されました。

「緊急事態宣言」全国拡大「特定警戒」13都道府県 新型コロナ
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200416/k10012391681000.html

筆者は最初に緊急事態宣言が出された翌8日から1週間ほど、自宅からのテレワークを経験しました。これほど長く在宅ワークを経験したのは初めてのことです。自宅で仕事をしていく中でやっておいて良かった点やこれからの課題などが見えてきました。今回は、その実体験を踏まえてレポートのような形で記事にまとめてみました。

目次

  1. はじめに
  2. ハードウェアについて
  3. ソフトウェアについて
  4. 作業環境について
  5. おわりに

はじめに

「テレワークって何?」、「テレワークにはどんなパソコンが必要なの?」といった内容は前回の記事で言及しました。

ここ最近で「テレワーク」や「リモートワーク」という言葉がバズワードのようになっており、さも当たり前にやらないといけないような風潮も出てきています。しかし、業種や職種によってはそもそもテレワークができない、もしくは相性が良くないというケースもたくさんあり、導入にはしかるべき準備とセキュリティ対策を含めた慎重で冷静な判断が必要であることは言うまでもありません。

そこでこの記事では、オフィスワークが中心で比較的テレワークを導入しやすいと考えられる事務系やIT系の業種や職種の方を主な読者に想定しました。営業系の方も、ひょっとしたら少し参考になる部分があるかもしれません。

今できるだけ意識していく必要があること

緊急事態宣言が出されたということで、コロナウイルスの感染拡大を防ぐために各人ができることをやっていくことが必要だと筆者は考えています。すなわち、なるべく外出せずに人との接触を断つことです(コロナウイルスはそれ自身では移動することができないからです)。

これまで筆者は、

  1. 自宅から最寄り駅まで行く(徒歩 or 自転車)
  2. 電車に乗る
  3. 会社の最寄り駅から会社まで歩く(徒歩)

という道のりで多くの人とすれ違うことが当たり前でしたが、これをできるだけ減らす必要があります。感染防止はもちろん、自分はすでに感染しているかもしれないという前提での行動です。

自転車通勤や自家用車通勤にすれば、駅や電車内で人とすれ違うのを避けられますが、雨の日の自転車はかなり危ないですし、距離的に無理という方もいるでしょう。自家用車だとそもそも都心に駐車場がないことがありますし、有料駐車場だとコストがかかりすぎるので非現実的です。
そうするとやはり自宅で仕事ができるようになれば、人との接触を減らしつつ…

  1. 時間を節約できる(通勤時間ゼロ)
  2. 交通費を節約できる(交通費ゼロ)

という使用者・労働者ともに共通するメリットが見えてきます。もちろん手放しでいいことばかりではありません。実際にテレワークを体験してみて、問題が明らかになった方もいらっしゃるかと思います(食べ過ぎや運動不足など)。しかしテレワークをうまく活用すれば、究極的にはオフィスを削減できる可能性も出てきます。今回のような状況に限らず、地震や大型台風などの予測不可能な自然災害への対策として、テレワーク環境を整えておくことは事業継続性を高めることに繋がります。

Backlog等のサービスで著名なヌーラボさんはこんな発表をしていました。

ヌーラボ、社員へ年間15万円を支給するテレワーク補助を実施。オフィスの縮小も見据えた、長期的なテレワーク環境を構築。
https://nulab.com/ja/press-release/pr-2004-telework-support/

前置きが長くなりましたが、、筆者のテレワーク体験の具体例を紹介します。

ハードウェアについて

 

まず筆者は日常業務でラップトップパソコン(MacBook Pro)を使っています。そのため、自宅へ持ち帰ってそのまま作業できる下地はすでにありました(だからといって勝手に持ち帰って良いことにはなりませんが…)。しかし、持ち歩いていると思いがけず破損してしまったり、最悪の場合紛失や盗難に遭うリスクもあります。

そこで今回は、MacBook Proを会社から持ち出さずに、リモートデスクトップ接続で利用することにしました。接続元のパソコンは個人利用のMacBook Proを使いました。これまで職場と自宅の作業環境をなるべく同じにすることを意識して作業環境を構築してきていたので、特に違和感はありませんでした。会社へすぐにVPN環境を構築できない場合には、まずリモートデスクトップ環境を作ってしまうのが一番手っ取り早いのかもしれません。ただし、気をつけないとセキュリティがゆるいため、最低限の従業員のモラルが必要になってきます。VPN環境を使ったリモートアクセスについては、今後別の記事で書きたいと思います。

キーボードとマウスはかなり昔に買ったBluetooth接続のものを使いました(本当に古い)。ディスプレイはEIZO FlexScan EV2451です。これは非常に使いやすいディスプレイでお気に入りです。ちなみに会社では一世代前のEV2450を使っています。最近こんな記事が出ていました。

1日7時間以上も向き合うディスプレイだから、2台買った話
https://pc.watch.impress.co.jp/docs/column/kaimono/1248102.html

 

他に役立ったのは、AirPodsとiPhoneに付属しているEarPodsです。

ビデオ通話を行うときに、ハウリングしないだけでなく、iPhoneやMacと相性が良いので色々な操作ができます。AirPods Proがあるともっと良いのかもしれません(←Appleの回し者か)

大切なのは今使っているパソコンの仕様を正しく把握すること

パソコンの周辺機器は正確な情報に基づいて買い足すことが大切です。この機会に、今使っているパソコンのポートの仕様を良く調べてみると良いと思います。変換コネクタを急いで買ったのに、付けてみたら使えなかったということがないようにしましょう。

ソフトウェアについて

先ほども書きましたが、リモートアクセスに使ったツールはテレワークラッシュが始まる前から有名なChrome リモート デスクトップです。これを使えば、基本どこにいても会社のMacBook Proにアクセスすることができます。Chrome リモート デスクトップは、これまで社内の別の方でもテレワークで使っていた実績があり、有償ソフトウェアと比較しても何ら遜色なく使えることはわかっていました。ちなみにその方にはWindowsで使ってもらっています。

Chrome リモート デスクトップの使い方については、Googleの公式ドキュメントをご参照ください。
https://support.google.com/chrome/answer/1649523?co=GENIE.Platform%3DDesktop&hl=ja

なお、昨日21日にはNTT東日本とIPAからリモートデスクトップ接続できるツールが無償公開されました。

プレス発表 IPAとNTT東日本、新型コロナ感染防止のためテレワークシステムを緊急で試験構築
~職場や大学のPC画面に自宅から安全にアクセス可能なシステムの実証実験として無償開放~
https://www.ipa.go.jp/about/press/20200421.html

新型コロナウイルス対策実証実験
NTT東日本-IPA「シン・テレワークシステム」
https://business.ntt-east.co.jp/service/thintelework-system/

こちらも試しに自宅のWindows PC同士で使ってみましたが、快適に使えそうです。
※パフォーマンスを最大限享受するためには、サーバ側がWindows 10 Proで、ソフトウェアを管理者権限でインストールする必要があります

連絡/情報共有手段としては、ビデオ通話、メール、ビジネスチャットなどが考えられます。今回はビデオ通話にZoom、チャットにSkypeを使うことにしました。社外の顧客とのやり取りには、これまで通りメールを使いました。

作業環境について

今は上記のハードウェアを使って、外付けディスプレイをメインにしてこのような形で仕事をしています。ディスプレイの下に置いてあるのは、Intel NUCです。Windows 10をインストールして、macOSと映像入力切り替えで使っています。

作業時にはFMのラジオをかけて音楽やニュースなどを聴いています。最近ではラジオパーソナリティもリモートで出演していたりと、日々仕事環境が変化していることを実感しています。

イスは長時間使うものですので、ある程度しっかりしたものを選ぶのが良いと思います。ずっと座りっぱなしだと腰を痛めてしまうことがあるので、タイマーをかけて体を動かしながら集中力が続くようにしています。

一日の始まりと終わりには、ビデオ通話を利用してその日一日の達成目標と成果報告を行っています。テレワークでは、目標と成果を自分自身で組み立てていくことが大切ですが、まだまだこれからだなぁと痛感しています。

おわりに

今回は個人的なテレワーク事情を記事にしてみました。これからテレワークを導入していこうという方に、何か一つでも役立つ情報があれば嬉しいです。

先日クラスメソッドさんのウェビナーを受講した際に、「セルフマネジメント」と「アウトプットファースト」が大事だというお話を聞き、その通りだなと思いました。これから少しずつ自分を高めていければと思います。とても勉強になる内容でしたので、良ければぜひ一度ご覧ください。

「ピンチをチャンスに変える!カルチャートランスフォーメーション」という話をしました
https://dev.classmethod.jp/articles/200416-culture-transformation/

「実録テレワーク!日常業務からバックオフィス連携まで利用ツールをご紹介」というセッションで話しました
https://dev.classmethod.jp/articles/200416-telework-webinar/

次回はVPN環境を構築してリモートアクセスする方法をご紹介したいと思います!