PCのストレージといえばHDDとSSDの2つが有名ですが、最近はSSDの低価格化が進み、SSDしか積んでいないPCも珍しくなくなってきました。中でもメインのストレージとして人気なのはM.2 SSDと呼ばれるものです。今までHDDより速いとされていたSATA接続のSSDより更に速いM.2 SSDは、今販売されているPCの多くで搭載されています。そのほとんどはPCIe 3.0という規格で情報をやり取りしているのですが、最新のIntel 第11世代CPUはPCIe 4.0に対応したことで更に高速で通信ができるそうです。そこで今回は、Intel 第11世代CPUを搭載したPOWERSTEP TowerにPCIe 4.0対応のM.2 SSDを組み込み、PCIe 3.0のM.2 SSDやSATAストレージに比べてどれほど速度が速いのか調べてみました!

PCIe 4.0とは?

PCIeとはPCの通信規格の一つで、様々なパーツやポートでの通信に使われています。M.2 SSDやグラフィックボードもPCIeで情報をやり取りしています。今PCで使われている最新世代の規格がPCIe 4.0です。これは従来のPCIe 3.0に比べて2倍の転送速度である16 Gbpsを誇ります。PCIe 4.0に対応したM.2 SSDを使うことによって、理論上は今までの2倍の速度でのデータ転送が可能になります。

ストレージが速いと何が良いの?

パソコンの快適さにはCPUやメモリなどのパーツの性能が関わっていますが、ストレージの速度も重要な要素です。いくら良いパーツを使っていても、OSやソフトウェアをインストールしているストレージの速度が遅いと起動やレスポンスも遅くなってしまいます。特に画像・動画編集やCADといった作業を行うソフトウェアは起動時の読み込みや、作業時のデータの読み書きが多いためストレージの影響を受けやすいです。「納期がピンチ!」というときに編集ソフトの起動やデータの書き出しが遅いと余計にイライラしてしまいますよね。ストレージの速度が速ければ速いほど作業効率が上がり、納期にも気持ちにも余裕を持って仕事ができます!

比較するストレージ

WD_BLACK SN850 1 TB

Western Digital社製のM.2 SSDでPCIe 4.0に対応しています。後述のソフトウェアを使用し、ゲームモードをオンにすることで真価を発揮します。最新規格に対応したこのストレージは、果たしてどれほどの速度が出るのでしょうか?

Intel SSD 670p 512 GB

Intel社製のM.2 SSDで、今多く流通しているものと同じPCIe 3.0に対応したストレージです。ご自身の使っているPCにPCIe 3.0対応M.2 SSDを搭載しているという方は、このストレージの速度を参考にして比較してみてください。

Crucial M500 120 GB

参考としてSATA接続のSSDとも比較してみます。「M.2ではなくSATA接続のSSDしか使ったことがない」という方もまだ多いのではないでしょうか?ご自身がSATA SSDを使っているという方はこのストレージの速度を参考にしてみてください。ただし、今回の検証ではマザーボードのSATAポートに直結するのではなく、POWERSTEP Towerに標準搭載されているThunderbolt 4ポートを経由して接続しています。

使用したマシン

POWERSTEP Tower

弊社で扱っているミドルタワー型のデスクトップPCです。高い処理性能と拡張性が自慢の本製品ですので、ストレージの速度も最大限に発揮できるはずです!スペックは以下の通りです。

CPU Intel Core i5-11500
マザーボード ASRock Z590 PRO4
メモリ DDR4-3200 32 GB x2
OS Windows 10 Pro 21H1
インターフェース PCIe 4.0
Thunderbolt 4

使用したソフトウェア

CrystalDiskMark 8.0.4

ストレージのデータ転送速度を測定する有名なベンチマークソフトウェアです。測定時の設定は、測定回数5回、1 GiBで行いました。

Western Digital Dashboard 3.3.2.18

このソフトはWestern DigitalのSSD専用のソフトウェアで、これを使うことでSSDの状態確認、ファームウェアアップデート、ゲームモードの有効化などができます。WD_BLACK SN850の性能を最大限に発揮するために、このソフトウェアでゲームモードを有効にして測定しました。

結果

WD_BLACK SN850の測定結果

Intel SSD 670pの測定結果

Crucial M500の測定結果

まずはシーケンシャルアクセスの速度を見てみます。この速度はファイルコピーなどの速さに関わります。
WD_BLACK SN850のシーケンシャルリードは6962.59 MB/sを記録しました!他のSSDと比べてみるとIntel SSD 670pの約2倍、Crucial M500の約13倍とかなり高速であることがわかります。シーケンシャルライトは5258.07 MB/sで、こちらも他のSSDと比べるとIntel SSD 670pの約3倍、Crucial M500の約80倍と、とてつもない速さを誇ることがわかりました!

次にランダムアクセスの速度を見てみます。ランダムアクセスはOSやアプリケーションの起動などに関わっており、この速度が速いとPCの動作が快適になります。
WD_BLACK SN850のランダムリードは923.07 MB/sでした。これを他のSSDと比べるとIntel SSD 670pの約2倍、Crucial M500の約4倍とかなり速いことがわかります!ランダムライトは851.14 MB/sで、こちらはIntel SSD 670pの約1.3倍と控えめに見えますが、Crucial M500と比べると約420倍と圧倒的な差が出ました!

まとめ

検証の結果、PCIe 4.0対応のWD_BLACK SN850はPCIe 3.0対応のIntel SSD 670pのほぼ倍、SATA接続のCrucial M500とは桁違いの性能であることがわかりました!ただし、Crucial M500の書き込み速度に関してはシーケンシャルライトが公称値(130 MB/s)の半分程度だったため、今回の結果はあまり参考にならないかもしれません。とはいえ、公称値が出ていたとしてもWD_BLACK SN850は5258.07 MB/sを記録したので、やはり桁違いの性能と言えます。
これだけ転送速度が速ければ作業効率もアップしそうです!まだPCIe 3.0のM.2 SSDやSATAストレージを使っているという方はぜひご検討ください!

詳しい情報はPOWERSTEP Tower商品ページを、お見積のご依頼は見積り依頼ページをご覧ください。ご注文の際はぜひPCIe 4.0のM.2 SSDを搭載してみてください!

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