OWCブランドの新製品として、各種パソコン/タブレット/スマートフォンに対応したUSB-C – HDMI変換アダプター「OWC USB-C Dual HDMI 4K Display Adapter」が2023年5月26日に発売となります。
本製品は、各種パソコン/タブレット/スマートフォンの映像をUSB-Cポート経由で最大2台のテレビやモニターへ出力することができる変換アダプターです。
独自技術によって様々なデバイスからUSB経由で映像出力を可能にする「DisplayLink」のチップセットを搭載しており、通常外部ディスプレイの台数が1台までに制限されているApple M1/M2チップを搭載したMacでもデュアルディスプレイ環境を実現できるのが最大の特徴です。
今回はこの製品の仕様や使い方、そしてOWCの姉妹ブランドであるNewerTechブランドのアダプターとの違いなどについてご紹介したいと思います。

 目次

OWC USB-C Dual HDMI 4K Display Adapterの概要

OWC USB-C Dual HDMI 4K Display Adapter(以下、「本製品」と表記します)は、USB-Cポート経由で各種パソコン/タブレット/スマートフォンをHDMI対応の外部モニターやテレビへ接続することができる変換アダプターです。
本製品を経由してノートPCやタブレット、スマートフォンなどの映像を2台までのモニターやテレビへ、最大4K(3840×2160/60Hz)で出力することができます。
本製品最大の特徴として、通常外部モニターが1台までに制限されているApple M1/M2搭載Macでも2台のモニターを繋いでデュアルディスプレイ環境を実現できます。

それでは本製品の外観を写真で見ていきましょう。
出力側には前述のとおり、2つのHDMI 2.0ポートを搭載しています。
各ポートそれぞれから最大4K(3840×2160/60Hz)で映像を出力することができます。
なおAndroidデバイスに限り、接続できるモニター数は1台のみで解像度はフルHD(1920×1080)までとなります。

本製品から各デバイス本体へは、搭載されたUSB-Cケーブルで接続します。ケーブルはコネクター部分を含めて335mmあり、この種のアダプターとしてはちょっと長めですね。
またこちらの面にはUSB PDパススルー給電に対応した「USB-C補助電源ポート」も装備されています。
このポートに市販のUSB Power Delivery(USB PD)対応ACアダプターを接続することで、本製品を使いながら、繋がれたパソコンなどへの電力供給が可能です。

本製品には、独自の映像伝送技術を使った「DisplayLink」のチップセットが搭載されています。
このチップによって、MacやWindowsだけでなくAndroidスマートフォン/タブレット、そしてChromebookも含めたマルチOS/マルチデバイス環境に対応しています。
また前述したM1/M2 Macでの外部デュアルディスプレイ環境も、DisplayLinkのハードとソフトを組み合わせた技術によって実現されています。

OWC USB-C Dual HDMI 4K Display Adapterのいいところ

本製品のメリットの1つとして、前述のとおり通常外部モニターが1台までに制限されるM1/M2 Macでデュアルディスプレイ環境を実現できる点があります。
これを可能にしているのが、DisplayLinkの映像転送技術です。

本製品に搭載されたDisplayLinkのチップセットは通常の映像変換アダプターとは異なる仕組みでUSBポートから映像を出力しています。
本製品の姉妹品であるNewerTech USB-C to HDMI Adapterなどの一般的なUSB-C – HDMI変換アダプターでは、USB-Cポートから出力されている「DisplayPort Alternate Mode」という規格の映像信号をHDMIなどへ変換して出力します。
しかし本製品の場合、出力する映像は一旦各デバイスのCPU内で仮想的に描画され、更にそれをキャプチャ後に圧縮してからDisplayLinkチップセットへ転送されます。
DisplayLinkチップセットは受け取った圧縮データをデコードして、生成された映像をHDMIポートへ出力します。
一見すると特殊な手順を経てメリットが少ない方法にも思えますが、この方式の利点として、本製品は前出のDisplayPort Alternate Modeに対応していないUSB-Cポートでも利用可能です。
ちなみにCPUで圧縮されたデータはUSB以外の方法でも転送可能なので、DisplayLinkチップセットを使って映像を無線でVRヘッドセットへ転送する製品なども販売されています。

M1/M2チップを搭載したMacはハードウェア的な仕様から接続できる外部モニターの数が1台までに制限されていますが、本製品ではDisplayLinkチップセットの仮想化と圧縮転送技術を使うことで、この制限を超えて複数台のモニターへ映像を出力することが可能になっています。
またMac以外に、WindowsパソコンやAndroidのスマホ/タブレット、そしてChromebookといったデバイスもDisplayLinkによってサポートされ、本製品を複数のデバイスでお使いいただけます。

NewerTech USB-C to HDMI Adapterとの違いは?

次にOWCの姉妹ブランド製品「NewerTech USB-C to HDMI Adapter」(以下「Newerアダプター」)と本製品の違いについても確認してみましょう。
Newerアダプターの構造はシンプルで、前述のとおりUSB-Cポートから出力されるDisplayPort Alternate Mode規格の映像信号をほぼそのままHDMIへ出力します。
一方本製品の方はこれも前述のとおり、一度CPU内で仮想的に描画された映像をキャプチャしてから圧縮してDisplayLinkチップセットへ転送し、DisplayLinkチップセットが圧縮データを展開してからHDMIへ出力します。

NewerアダプターはDisplayPort Alternate Mode規格に対応したUSBポートでしか使えませんが、本製品はそれ以外のUSBポートでも仕様可能です。
基本的にUSB 3.0以上のポートが推奨されますが、社内検証ではUSB 2.0ポートを搭載したAndroidスマホでも動作可能でした。
一般的にDisplayPort Alternate Mode規格はUSB 3.0以上のUSBポートでサポートされるため、Newerアダプターが使えないパソコン/スマホ/タブレットでも本製品なら使える場合があります。

機能面で比較すると、両製品ともに解像度は4K/60Hzまで対応(厳密にはNewerアダプターが4096×2160/60Hzまで、本製品は3840×2160/60Hzまでとなります)で、繋げるモニター数はNewerアダプターが1台のみなのに対し本製品は2台までです。

なお搭載されたDisplayLinkチップセットの仕様上、転送できる映像には一部制限があり、本製品はNewerアダプターが対応していたHDR(ハイダイナミックレンジ)とHDCP2.2の著作権保護規格には対応していません。
特にHDCPについては動画配信サービスにも使われているため、各デバイスに本製品を接続した状態では、著作権保護されたコンテンツを再生できない場合がありますのでご注意ください。

本製品が持つもう一つのメリットとしては、前述の「USB-C補助電源ポート」が挙げられます。
このポートに市販のUSB-PD対応ACアダプターを繋ぐことで、本製品を使いながらスマホやタブレットなどに給電もできるので、長時間の使用でもバッテリー切れの心配がありません。
地味ながらとても有用な機能です!

最後に2つの製品の大きな違いとして、価格差も見逃せません。
本記事執筆時点でNewerアダプターの価格が3,850円(税込)となっていますが、本製品の価格は21,800円(税込)です。
単純に出力できる画面が2倍になっただけと考えると若干差が大きく感じますが、
・1つのUSB-Cポートから2つのモニター画面を使える
・M1/M2 Macで通常サポートされない外部デュアルディスプレイに対応
・DisplayPort Alternate Mode規格に対応していないUSBポートでもOK
といった点がNewerアダプターには無く本製品が持つメリットなので、これらの違いを考慮した上で使い方に合った製品を選ぶことをお勧めします。

M2 MacBook Proでデュアルディスプレイ!

では実際に本製品をM2 MacBook Proに繋いで使ってみましょう!
まず本製品のドライバー機能も含めた専用アプリ「DisplayLink Manager」をダウンロードしてインストールする必要があります。
OWCの案内にあるURL(go.owc.com/displaylink/drivers)を開くと、DisplayLinkチップセットの製造元であるSynaptics社のダウンロードサイトに繋がります。

このページから、各OS用のドライバーを入手できます。
ここからmacOS向けのページを開いて、ダウンロードしたDisplayLink ManagerをM2 MacBook Proにインストールしました。

前述のとおり本製品へ転送される映像は一旦Mac内でキャプチャされるため、セキュリティの設定からDisplayLink Managerへ画面の記録を許可する必要があります。この設定はアプリのインストール時に行います。このアプリケーションが仮想画面の描画や転送に関わっているため、アプリケーションが動作していないと本製品から映像が出力されません。
アプリの設定にmacOSへのログイン時にアプリも起動させるオプション(Launch automatically after login)があるので、チェックを入れましょう。

専用アプリのインストールが終わればこのとおり、無事にM2 MacBook Proで外付けデュアルディスプレイ環境が実現できました!

描画の遅延や画質の低下なども特に感じられず、通常の外部モニターとして使えます。4Kの大画面ならWebサイトの閲覧なども広々と使えて、Mac本体の画面より快適です!
ただし前述のとおり著作権保護のHDCPには対応していないため、M2 Macに本製品が繋がっている状態でAmazon Prime Videoの再生を試したところコンテンツが表示されませんでした。
なおYoutubeのユーザーがアップロードした動画は本製品が接続された状態でも再生可能です。

Androidスマホでも使えます!

続いて、AndroidスマホのXiaomi Redmi Note 11 Pro 5G(私物)でも使ってみました。
このスマホのUSB Type CポートはDisplayPort Alternate Modeに対応していないため、NewerTech USB-C to HDMI Adapterを繋いでも映像が出力されません。
しかし本製品は使える可能性があるので試してみました!

Androidデバイスで本製品を使う場合、専用アプリ「DisplayLink Presenter」をGoogle Play Storeからダウンロードする必要があります。
アプリをインストールしてから本製品をスマホに繋ぐと、画面にメッセージが表示されるので確認して起動します。
DisplayPort Alternate Modeに対応していないスマホもご覧の通り!スマホの画面がモニターの大画面にも表示されました。
本製品をAndroidで使う場合、スマホ/タブレットの画面がそのままミラーリングで表示されます。
前述のとおり本製品で出力できるAndroidの解像度はフルHDまでなので、スマホの画面が縦向きだったり16:9以外の画面比率の場合は余白分が黒くなります。
またこの状態ではスマホの音声も本製品に接続されたHDMI機器側で再生されます。

また前述のとおり本製品はHDCPに対応していないため、著作権保護されたコンテンツは表示できません。
Amazon Prime Videoアプリで動画を再生すると、スマホ本体の画面にだけ映像が表示され、本製品で出力した画面ではコンテンツ部分のみが真っ黒な状態です。(※コンテンツ部分は画像処理しています。)
なおYoutubeのユーザー動画についてはmacOSと同じく表示可能でした。

用途は若干限られますが、スマホに保存された動画や写真、書類などを大画面で見たい場合などには便利です!
特に今回のようにDisplayPort Alternate Modeに対応していないスマホの映像を大画面で見たい場合、他の方法としてGoogle Chromecastなどワイヤレスディスプレイアダプタへのキャストがありますが、無線による操作遅延(ラグ)が発生します。
しかし有線接続の本製品では映像に遅延もほとんど感じられず、簡単なアクションゲームくらいならモニター画面を見ながらの操作も可能でした。
DisplayPort Alternate Modeに対応していないスマホを使っていて、キャストのラグが気になる方にも本製品はおすすめです!

WindowsパソコンやChromebookの動作は?

この他本製品はWindows 10以降がインストールされたパソコンやChromebookにも対応しています。
Windows環境ではパソコンがインターネットに接続されていれば、本製品を繋いでしばらく待つだけで自動的にドライバーがダウンロードされて使えるようになります。
またChrome OSには出荷時からDisplayLinkのドライバーが含まれているため、現在販売されているChromebookなら本製品を繋ぐだけで使用可能です。
デュアルディスプレイについてはWindowsパソコンは当然ながら、Chromebookでも4K/60Hzで2画面の表示が可能でした。
ただしChromebookの機種によっては4K画面の処理が重いため、動作が遅くなる可能性があるのでご注意ください。

なお著作権保護されたコンテンツについては、なぜかWindowsパソコンとChromebookの双方で本製品を繋いだ状態ですべての画面上でAmazon Prime Videoの再生を確認できました。
これら2つの環境でもHDCPの動作は保証されませんが、コンテンツの取り扱い方法がmacOSやAndroidとは異なるのかもしれません。

様々なデバイスで2画面環境を実現できるUSB-C – HDMI変換アダプター!

ここまでご覧いただいたとおり、本製品の最大の利点は複数のOS/デバイスで1つのUSB-Cポートから2つのモニター画面へ接続できる点です。(Andoroidは1画面のみ)
専用のアプリ/ドライバーを導入した後は接続するだけですぐに使えるので、複数のデバイスを所有していて手軽に画面の表示領域を広げて使いたい方にはとてもおすすめな製品です。
HDCP制限などの点で活用方法は若干絞られますが、オフィス系アプリやWeb閲覧などの用途であれば、広々とした画面で快適に作業できます!

以上、USB-C – HDMI変換アダプター「OWC USB-C Dual HDMI 4K Display Adapter」のご紹介でした。
本製品は2023年5月26日発売予定です!

OWC USB-C Dual HDMI 4K Display Adapter ¥21,800(税込)

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OWC USB-C Dual HDMI 4K Display Adapter製品ページ