以前より弊社で扱っている1Uラックマウントサーバー「POWERSTEP 1U」がこの度リニューアルし性能や使い勝手がアップしました!
今回はPOWERSTEP 1Uの特徴とFilemaker Server 2023を動かしたときの様子をご紹介していきます!

ラックマウントサーバーとは?

最初に1Uラックサーバーについて確認しておきましょう。Intelアーキテクチャ(IA)におけるラックマウント型サーバの歴史は大変古く、1990年代から始まり2000年代より普及しました。

電子機器収納専用ラック(通称「19インチラック」)に設置するのに適した形状です。19インチラックは、サーバを効率的に収容できるようラック内の冷却性、耐震性、電源供給などで配慮と工夫がされています。また、人が常駐しない環境を想定しているため、ラックマウント型サーバーは、静粛性は考慮されていません(つまりうるさい)。
2010年代よりクラウド型サーバーの普及が始まり、ラックマウントサーバーがクラウドに置き換わることが多くなってきました。安定したネットワークや電源、冷却、セキュリティなどの設備の整備が大変で、初期投資がかさむ物理サーバーよりも、必要な時に必要な分だけ計算資源を用意できるクラウド型サーバーが変化の激しい現代にはユーザーの支持を得てきているのも事実です。

今回ご紹介するサーバーは、1U(ユニット)サイズのサーバーで、ラックマウント型サーバーとしては、最も小規模なものの1つです。1Uは、約45 mmの高さを示しており、一般的な大型19インチラックには、最大で42台収容することができます。2Uや4Uの大型サーバーでは、200 Vの電源が推奨されるものも多いですが、今回ご紹介するサーバーは100 Vの電源で運用できます。

アミュレットの周りでも自社サーバーがクラウドに置き換わって久しいですが、まだまだラックマウントのご要望があります。ご要望は大きく3つに分けられると思います。

(1) サーバインフラのリプレース
ラックマウント型サーバーをお使いのユーザーが、設備更新の一環としてラックマウントサーバーを新たに用意する事例。

(2) デスクトップ機からサーバー機への移行
デスクトップ機を使っていたが、規模が大きくなり計算機の専用施設を作るもしくは借りて、サーバーを新たに用意する事例。

(3) クラウドからオンプレミスへ回帰
従来はクラウドでサーバを運用していたが、ネットワークが遅かったり、トラフィック通信量が多かったり、バックアップに不安があるなどの点から、自社内のラックマウントサーバ設置に切り替える事例。

今回のブログでは、(2)のデスクトップ機からサーバ機への移行する場合を考え、デスクトップ機での運用も多いFilemakerに焦点をあて、Winodws ServerとFilemakerの組み合わせを行っています。

POWERSTEP 1U

POWERSTEP 1U

POWERSTEP 1Uは弊社のBTOパソコンシリーズ「POWERSTEP」のサーバー向けモデルです。POWERSTEPシリーズの他の製品とは違いサーバー向けの耐久性の高いパーツを採用しているため、長期間の連続稼働に強いのが特徴です。

CPUのラインナップは
・Intel Xeon E-2314 3.1Ghz 4コア4スレッド
・Intel Xeon E-2334 3.4Ghz 4コア8スレッド
・Intel Xeon E-2388G 3.2Ghz 8コア16スレッド

の3種類から用途に合わせて選ぶことができます。
メモリは最大で128 GB搭載可能なため複数のアプリケーションや処理の重い作業を想定する場合には多めに積んでおくのがオススメです!

また今回のモデルではホットスワップに対応した2.5インチドライブベイを2つ搭載しています。RAID1で運用すれば片方のストレージが壊れても電源を落とすことなく交換ができます!この特徴を活かしてM.2 SSDにOSをインストールし、ホットスワップのストレージ2台をRAID1にしてファイルサーバーとして運用するといった使い方がオススメです!

Filemaker

Filemakerはデータベース管理システムの一つで1985年にリリースされてから現在まで更新が続けられている歴史あるソフトウェアです。Filemakerはプログラミングの知識があまり無くても規定の関数やスクリプトを組み合わせることでデータベースを作成できるのが特徴で、インターフェースも自由にアレンジすることができます。

Filemakerで作成したデータベースはFilemaker Serverを使うことで他のユーザーと共有することができます。クライアントにはMac、Windows PCはもちろんiOSにも対応しているため幅広い環境でデータベースを共有することができます。

Filemaker ServerはMacでもWindowsでもLinuxでも動作しますが、今回はWindows Serverを使って実験していきます。

使用する機材

  • POWERSTEP 1U
    CPU: Intel Xeon E-2388G
    RAM: 16 GB
    OS: Windows Server 2019 Standard Edition

    CPUはご注文時に選べる中でも最上位のモデルです。

使用するソフトウェア

  • FileMaker Server 2023
    Filemakerのサーバー用ソフトウェア。
  • CrystalDiskMark
    Filemakerとは関係ありませんがディスクの読み書き速度測定に使用しました。

環境構築

環境構築といってもFilemaker ServerもFilemaker Proもインストール方法は簡単です。

Clarisのサイトからインストーラーをダウンロードして起動し、指示に従って進めるだけです。途中でライセンス認証がありますが試用期間として45日間は無料で使うこともできます。

インストールが完了したらFilemakerサーバーも立ち上がっていますので、同一LAN上のクライアントのWebブラウザからサーバーのIPアドレスにアクセスすることで管理画面にアクセスすることができます。

動作の様子

Filemaker Serverの管理画面

WebブラウザでサーバーのIPアドレスにアクセスしたところ管理画面が表示されました!クライアントが一台しかないので当然ではありますがレスポンスにも問題は無さそうです。

Filemakerのようなデータベースソフトウェアの場合、データ量、件数、ストレージの構成、演算速度、ネットワーク速度、ユーザー数といったさまざまな要素が性能に影響します。今回、読者の皆様にご案内しやすいベンチマークソフトウェアがなかったため、今回テストで使った2.5インチSATAのSSDのディスク速度のベンチマークをご紹介します。

CrystalDiskMarkによるディスク速度の測定

ギガビットイーサネットが標準になっているとはいえ、ネットワーク越しのアクセスではそこまで速度が出なかったり、複数のクライアントからアクセスして負荷がかかったりすると考えると、ディスク速度がそこまで使用感に影響することはなさそうです。

POWERSTEP 1Uの強みと弱点

デスクトップ機からすると高性能な部類に入るPOWERSTEP 1Uですが、上記状況を踏まえるとPOWRSTEP 1Uのいいところは次の点です。
(1)ラックマウントサーバーとしては小型、低消費電力である
(2)SATA、M.2等さまざまなストレージが装着できる。3.5インチHDDも1台なら内部に搭載可能である。
(3)サーバー用の部品で長時間運用に配慮された部品が使われている

また、デスクトップPCに比べて、POWERSTEP 1Uの弱点は次の点でしょう。
(1)ファンの音がうるさい。事務所内では気になるレベル。
(2)19インチラックを使わないと、逆に場所を取る。→ 上に物を置くことを前提につくられていない。
(3)拡張性が少ない

弱点もいくつかありますが用途や運用のしかた次第では気にならないものもあるので、汎用的にというよりは特定の状況でオススメな製品です。

まとめ

今回は新しくなったPOWERSTEP 1Uを使ってFilemaker Serverを立ち上げてみました。安定性と実績のあるSATA SSDを使用しての実験でしたので結果もきちんとスペック通りとなりました。

実際に運用するときにはユーザーの数に合わせてメモリを増やしたり、データベースの大きさに合わせてディスク容量も増やせばその分SSDの読み書き速度も上がるため、よりボトルネックの心配も少なくなります!

BTOによるカスタマイズで様々なシチュエーションに対応できるPOWERSTEP 1Uをぜひ皆様の業務にお役立てください!

POWERSTEP 1U / 見積依頼ページ