「オフィスに1台」ファイルサーバ、自作できます。

shareファイルサーバ使ってますか?

オフィスで電子データを共有する時に活躍するファイルサーバですが、以前このブログで紹介した際には予想以上に多くの方に見て頂きました。ファイルサーバ=データの置き場なので、役割からするとまずデータ容量が大きいことが求められるのは当然です。しかし最近はファイルデータ量の増大に伴って、1つのファイルをコピーするのにも結構な時間がかかることも増えてきました(特に動画や写真など)。

そこで今回は、「速度」に焦点を当てて、ハードディスクを使わない壊れにくいファイルサーバを作ってみることにしました。

来週から発売開始になるアミュレットのカスタマイズPCを使って、耐久性の高いファイルサーバの構築方法をご紹介します!特に容量を増やしたり、Ethernetを高速規格に変更したりと、将来的に柔軟な路線変更ができることに焦点を当てました。

取り組みイメージ

一般的に「デスクトップPC」と呼ばれるパソコンより小型なPCを使います。マザーボードも小型のものを採用しています。なるべく場所を取らずにスマートに収納したいので、筐体内部もデッドスペースは少ないものを採用します。

使ったもの

マザーボード:H97 Mini-ITXマザーボード(ASUS H97I-PLUS)
CPU:Intel Core i7 4770K 3.50GHz
メモリ:8GB
ストレージ:8GB USBメモリ(OS用)+2.5 インチ SATA6Gb/s 256GB SSD

SSDを使ったファイルサーバのメリット

まず第一に、読み書きが格段に早くなります。Gigabit Ethernetでデータをやり取りする場合はもちろん一定の制約を受けることになりますが、HDDを使うよりはコピーや検索が早くなることは間違いありません。

第二に、故障しづらくなります。HDDを採用した場合と比べて、機械稼動部がないため、故障のリスクが少なくなります。

そして第三に、将来的にオフィスネットワークを高速化した場合に、スムーズに移行できます。これは2015年現在では長所として捉えにくい部分もありますが、今後数年で10Gb/sのケーブルやハブが求めやすくなってくると、データ移行を行わずにそのまま使い続けることができます。HDDでは高速ネットワークの転送スピードに十分に追いつけません。

Samba 4を使ってSMB2.0/3.0プロトコルの恩恵を受ける

ファイルサーバの実装には、おなじみのSambaを使います。Sambaの最新版は4.2系になりました。Samba 4のファイルサーバはWindowsServer 2012およびWindows 8で採用されたSMB3.0プロトコルに対応しています。従来のSamba 3系で標準であったSMB2.0プロトコルよりもデータの高速転送が可能になっています。

特にWindows 8以降のクライアントが多い場合には、その恩恵はかなり大きいと思います。

Sambaの設定

今回は、OSにCentOS 7を使用しました。インターネットで簡単に検索してみたところ、既に情報がかなりあるようで、最もはてなブックマーク数が多かった以下のサイトを参考にさせて頂きました。

Windowsファイルサーバー構築(Samba)
http://centossrv.com/samba.shtml

この通りに設定した結果Sambaファイルサーバを使うことができました。コマンド操作が必要ですが、Linuxの基礎知識がある方であれば、30分程度で構築可能だと思います。PCを自作できる方は、自作した方がハードウェア構成を自由に決められます。NASを買うよりも安く作れる可能性もあるのでお勧めです。

※繋がらない場合、SELinuxやファイアーウォールの設定が必要な場合もありますので、お使いの環境に合わせて適宜変更して下さい。

ハードウェアの自作が面倒な方は…

このブログで使ったアミュレットのハードウェアですと、Linux動作検証済です。CentOSやUbuntuをお使い頂けます。

もちろんクロック数の高いCPUやメモリ容量を増やすこともできます。実は今回使用したカスタマイズPCはファイルサーバ以外の使い道も結構あります。

最後にハードウェアの紹介をして終わりにしたいと思います。

POWERSTEP Cubeのご紹介

POWERSTEP Cubeは性能を落とさずに設置スペースを抑えたカスタマイズPCです。例えばゲーム用としても使えるものになっています。

グラフィックカードも挿せます。

無線LANカードを挿して無線ネットワーク接続することもできます。

POWERSTEP Cubeは、省スペースな筺体を活かして、従来ミドルタワー型のPOWERSTEP一台分のスペースに二台設置できます。

POWERSTEP Cubeは仕様が新しくなっています。マザーボードをH97チップセット搭載に変更する事で、搭載できるCPUが第4世代の「Haswell、Haswell Refresh」に加えて第5世代の「Broadwell」に対応、将来のアップグレードの余地も広がりました。

ストレージ周りも、PCI Express M.2 socket 3スロットがマザーボードの裏面にありますので、M.2 対応のmSATA HDDを搭載する事も可能です。但し、M.2は弊社でのLinuxでの動作確認がまだ行われていませんので、今後の課題となっています。

筺体を変更した事で、横幅は、PCIスロットのスペースが一本分増えた為、約2cmほど広がりましたが、奥行きが従来の製品から5cmほど短くなりました。

フロントにある120mmファンから外気を取り入れ、上面と両サイドのメッシュ部分から排気する構造です。

HDDは、2.5インチと3.5インチが各一台分となりますが、3.5インチベイに9mm厚の2.5インチHDD/SSDを2台搭載できるマウンターを使用する事で、2.5インチHDDを合計3台搭載できます。

RAID構成も設定できます。

光学ドライブはスリムタイプです。重量は、標準構成で約5kgです。(実測は4.8kg)

マザーボードにはAsus社H97I-PLUSを採用しています。高い性能と耐久性を保証するAsus社独自の『5X PROTECTION』対応のMini-ITXマザーボードです。IntelのLANコントローラーを搭載していますので、データ転送時のCPU負荷を抑えられます。オーディオ機能もノイズ対策が施されています。

SATA 6Gb/sは4ポート、PCIe 3.0/2.0 x16 (x16 mode)×1、PCIe Mini Card ×1を備えています。メモリスロットは2本、DDR-1600/1333Mhzに対応し、最大8GBメモリ×2で16GBまで搭載できます。

前面のインターフェイスは、USB3.0×2、マイク、ヘッドフォンとシンプルです。

背面のインターフェイスは、USB3.0×4、USB2.0×4、Gigabit Ethernet×1、HDMI×1、DVI-I×1、DisplayPorts×1、Optical S/P OUT×1、オーディオジャックの他、VGA×1、PS/2×1も有り、少し古めのモニタやキーボード(またはマウス)が接続できます。本体買い替え後も使い慣れたキーボードが使用できます。

メインのモニタは、HDMI接続、サブはDVI-I、VGAといった3画面表示(トリプルディスプレイ)もグラフィックカードの追加なく実現できます。

◎UPS(無停電電源装置)を使うなら

Cubeに搭載の電源ユニットのMax VA 300W*0.9=270VA80PLUS認証電源ですので、力率は0.9で計算します。実際に計測した起動時のVAが87VAでしたので、余裕があります。

現在、弊社でご提供しているUPSソリューションについては以下のリンク先をご覧ください。

◎データバックアップをするなら

POWERSTEP Cubeには、USB3.0ポートが前面2つ、背面に4つありますので、システムやデータのバックアップの為に外付けHDDを常時接続していても余裕があります。

USB3.0接続のHDケースにご希望の容量のHDDを取り付けてのご提案ができます。(2.5インチHDDでも3.5インチHDDどちらでもご提案できます、別途ケースには電源が必要です)