今回はIT教育を紹介します。ITが様々な領域に入り込んできている今、変化に適応したIT教育プログラムが求められています。アミュレットでは1999年よりIT教育プログラムも制作していますが、Raspberry Piを使った事例をご紹介致します。

システム構築・ソリューション > 教育
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シングルボードコンピュータRaspberry Pi
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● 今回の事例
F社(仮称:講義内容以外は都合により変更しています)では、情報システム担当の新人を教育するために毎年研修を行っています。今年はプロジェクトマネジメントの基本をRaspberry Piを活用した形で実施してほしいということで、研修プログラムの作成と実施を当社に依頼されました。

知識がネットで得られる昨今、IT教育は難しくなっています。知識中心の講義ではすぐに陳腐化することもあり、学習者のやる気を持続させるのが大変です。そこで、今回は基本は踏まえつつも考え方を掴めるようなセミナーを企画してほしい、とのご要望を研修依頼者より頂きました。


当社では、Linuxの基本的な操作を学べるLinuxの基礎学習支援サイト $ cat user Linux公開し、Linuxの操作知識をネットに公開しています。


 

● 研修概要
参加メンバーは10名程度で、ITに関する知識はばらばらですが、何名かはLinuxに触れたことがあります。毎週木曜日の午後2時間を頂き、毎週1回実施し、3ヶ月で完了して欲しいとのことでした。研修テーマは「プロジェクトマネジメントとRaspberry Pi」とし、システムの立ち上げから終結までを追って体験できるようなものとしました。
テーマ:プロジェクトマネジメントとRaspberry Pi
実施年: 2015年
日時: 毎週1回
回数: 全10回 (約3ヶ月)
会場: F社会議室


当社では、現在定期的な研修コースは実施していませんが、様々なニーズに応じて、オープンソースソフトウェアを活用するための、企画、立案、設計、実施を行っています。学習者、研修依頼者のご要望や目標に応じて、コースを作っています。

下記の事例では、Raspberry Piを活用した研修を実施していますが、Raspberry Piは、次の方々にお役立てできるのではないかと思います。

【IT教育を計画する方】
従来PCで実施してきた研修をRaspberry Piに変更して実施することができます。

【情報系以外の学生】
情報が専門でない学科や研究室では、メンバーによってITの理解に大きな格差があり、研究の推進で苦戦することがあります。Raspberry Piを使って実践的な演習をこなすことでいろんな発見があります。

【集合研修、社員教育】
テーマを絞ったほうが、研修効果はあがります。
営業部門では、顧客の動向を測る指標を自ら設計するシステムを作る研修、
製造部門なら、センサーを活用したデータ処理等
広報部門なら、IoTと光と音を使ったPOPの制作研修等です。
ITを利用する部門でも、基本的な仕組を理解するためにRaspberry Piを使うことは可能です。


 

● 計画
研修では、プロジェクトマネジメントの流れとシステムの構築の2つを理解できることを目的としました。

研修を前半と後半に分けて、前半をプロジェクトマネジメントの基本的理解、後半では、グループでプロジェクトを進めることを推進します。最終的には、Rasbperry Piをベースに、センサーの取付、データの取得、簡単なプログラミングを行うことをゴールとします。

毎回、リーダーを変更し、発表者、書記、メンバー、リーダー等の役割が変わっていくので、それぞれの役割と責務を理解しつつ、実務能力を身につけるとともに、PINBOKの理解とシステムの構築力を養成します。

前半:プロジェクトマネジメントの基本的な理解(PMBOKに準拠)

(1) プロジェクトの立ち上げ(イニシャライズ)
(2) プロジェクトの計画(プランニング)
(3) プロジェクトの実行(エグゼキューティング)
(4) プロジェクトのコントロール(コントロールとモニタリング)
(5) プロジェクトの終了(クロージング)

前半では、用語解説、机上プロジェクトの事例の研究と発表を行います。用語や発表形式に慣れて頂くというねらいがありました。

後半:Raspberry Piによる実践研究

(6) プロジェクトの立ち上げ(イニシャライズ)
Raspberry Piの調査
企画立案
(7) プロジェクトの計画(プランニング)
具体的な仕様作り、調達部品の選定
Raspberry Piの基本環境設定
(8) プロジェクトの実行(エグゼキューティング)
センサーの調達
サンプルプログラムの動作確認
(9) プロジェクトのコントロール(コントロールとモニタリング)
センサー取付、データ取得、プログラミングのテスト
(10) プロジェクトの終了(クロージング)
ドキュメント作成
成果報告会

後半では、Raspberry Piを使っての実証実験を行いました。
1チーム数名に分けて運営していきました。
1回の研修は90分のタイムテーブルを用意しました。

● 1回のタイムテーブルの例


0:00‐10:00    ブリーフィング
本日の進め方
用語解説
課題説明
発表者、書記の決定
10:00‐15:00    前回の内容の振り返り
15:00‐40:00    【課題1】ブレーンストーミング/分類/整理
40:00‐65:00    【課題2】話し合い、合意形成
65:00‐75:00    回答の整理、発表練習
75:00‐90:00   発表、質疑応答、講評
90:00‐120:00   予備、後片付け


 

● 実施してみて
研修依頼者からは、以下のような声を頂きました。


新人について、ソフトウェア開発の基本的な段取りの理解が進んだ。
グループワークで実施し、毎回発表を行ったため、発表能力が高まった。
学習者同士のコミュニケーション能力が高まった。
グループ活動を通して、それぞれの適性を見極めることができた。


学習者から直接レビューを伺ってはいませんが、概ね以下のようなことが得られたのではないかと考えています。


ソフトウェア開発の基本的な流れを理解した。
Raspberry Piを使って、センサー取付け、データ取得、プログラミング
といった一連の作業を理解した。
LinuxのコマンドやOSの仕組を体験した
道具としてのITの活用法を考えた。


当社としては、Raspberry Piそのものは、ITやプログラミングを学ぶ上で大変よい教材であると考えます。そのうえで、学習者の知識、やる気、応用力の3つを育てて行くためには、準備された教育プログラムがないと、学習者を成長させるのは難しいとも感じました。

● まとめ
様々な教育成果を測る目的としては、資格制度があります。IT分野でも例外ではなく、LPI、情報処理試験等が利用されています。

当社が開発する教育プログラムは、それとは異なり、ベースの知識は共通なものとしながら、残りの部分はお客様の状況に合わせて変更し、実践的なものになるよう修正しています。

お客様それぞれが異なる環境にあり、その現場も考え方も異なっています。現場を起点として考えると、教育プログラムの成果を測ることが簡単ではない場合があります。

スキルとは、「知識として知っている」というだけでなく 「状況を体験し、現場の立場に立って考えることができること」と 当社は考えています。

目指すスキルも現場ごとに当然異なっているので、研修メニューも異なってくるのです。これから研修を考えている皆様、当社と一緒に楽しい研修を作ってみませんか?

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