小型ながら実力十分の仮想化に特化したハードウェア
VMwareやCitrixなどの仮想化ソフトウェアを使ってサーバの管理運用を一元化したり簡素化したりすることは,ここ最近では決して珍しいことではなくなりました。他にもDockerやVagrantなども開発者には人気がありますね。
仮想化は非常に便利で流行しているとはいえ,データの機密性などの問題でどうしても自社のサーバルームで展開したいという場合には,やはり仮想化に対応したある程度高性能なハードウェアが必要です。ただし,大型の場合にはかなりの容積を占めてしまいコストがかかるなどの課題があるのではないでしょうか?
「とにかく低コストで小さく仮想化をはじめたい」「大規模な仮想環境に移行する前に開発・実験環境を用意したい」「リースなどの月額費用を払うのではなく,買い切りで仮想環境を使いたい」という方向けの物理的なハードウェアは市場にはあまりないという印象があります。
それだけIaaS(Infrastructure as a Service)やPaaS(Platform as a Service)が 浸透してきているということでしょうか。
今回は,これまで弊社で主にデスクトップ用途で提供していたハードウェア POWERSTEP Cube を改良し,小規模なオンプレミス仮想化や大規模仮想化手前の実験環境として役に立つ POWERSTEP Cube Server として,仮想化用途に特化したハードウェアを作ってみました。
実は「小型で手軽かつ本格的な仮想環境が作りたかった!」という方に少しでもお役に立てる内容となれば幸いです。
なお,POWERSTEP Cube Server はアミュレットのサイトから購入することができます。
https://www.amulet.co.jp/products/custompc/ps-cube-server.html
取り組みイメージ
ネットワーク性能とストレージ性能に優れた小型サーバを VMware ESXi 用に準備しました。
構成は以下のとおりです。
仮想マシン:Windows 10 Pro,Windows server 2012(いずれもx64です)
ホスト:VMware ESXi 6.0.0(vSphere 6.0.0)POWERSTEP Cube Server にインストール
vSphere Client 6.0.0(Windows 10 Proにインストール)
実験の目的は,以下の2点です。
- 10Gb EthernetをVMwareの仮想マシンで使えるようにすること
- SSDを使って高速に動作する仮想マシンを作成すること
小型でハイスペックなマシンを使ったオンプレミス仮想化のメリットって?
POWERSTEP Cube Server のような小型でハイスペックな物理サーバを使って,オンプレミス仮想環境をつくることのメリットを考えてみましょう。
1.クローズド(独立)な開発環境の構築ができる
AWSなどのクラウド全盛な現在では,IAM(Identity and Access Management)で仮想マシンへのアクセスを厳密に制限することもできますが,どうしてもデータを外に出せないという場合には,やはり社内にサーバを置いて運用管理していく必要があります。
サーバというと大型でラックに入っているものを想像する方が多いと思いますが,一般的なデスクトップ機などもサーバとして使えます(OSを動かす理屈は外的な形状とは関係がないためです,なぜ大きなサーバが多いかというと,それだけ資源が必要で高性能なものをたくさん詰め込んであるからです)
2.省スペース,低電力消費で運用できる
社内でのサーバ運用を考えた場合,消費電力,稼働音,設置スペースなどの物理的な条件を考慮する必要がありますが,小型でも性能が十分なハードウェアを選べると,置いておける場所が格段に広がります。
音がうるさくなければ普段仕事をしているスペースに置くことができますし,省電力なら電力を消費しすぎて事務所のブレーカーが落ちてしまったり,他の機械が使えないといった心配も少なくなります。
3.データの機密性を確保できる
1にも関連することですが,どうしても社外にデータを出すことができない場合に,インターネットと接続しない状態での運用管理ができるようになります。
当然アクセスは社内からに限定されて,クラックされたり不正に外部からログインされることがないため,大切なデータの機密性を確保することができます。
4.旧システムの延命に役立てられる
業務上どうしても動かさなければならないソフトウェアがあり,サポート切れのOSを動かす必要がある場合には,仮想マシンとして仮想ホスト上に展開して使い続けることができます。
少し後ろ向きな話ですが,逆にクライアントマシン以外の社内リソースを統合して一気にネットワークの仮想化を実現できる可能性もあります。
今回実験環境構築に使ったもの
- POWERSTEP Cube Server
- 10Gbit CAT7 Lanケーブル(データ転送用)
- vSphere Client用 Windows マシン(Windows 10 Pro)
ESXi,vSphere,vSphere Clientのインストールについては省略します。こちらのリンクがわかりやすいと思います。
VMware vSphere 6.0 環境構築 その2 vCenter構築
http://qiita.com/ToraLin/items/91f6d8f37eeda23824c3
マザーノードには標準で10Gb NICが2本ついています。
実際に仮想マシンの動作速度とネットワーク速度をはかってみた
SSDと10GbのNICを積んだハードウェアで仮想マシンを作った場合の実際の速度を測ってみました。
まずは10Gb NICの認識を確認
VMware ESXi に適用できる10Gbドライバは,VMwareのサイトからダウンロードできます。
VMware ESXi
Windows 10 仮想マシン
対向用物理マシン CentOS 7.1
いずれも10000Mb/s(=10Gb)で動いています。
SSDのベンチマーク結果
Crystal Disk Markを使って測ってみました。
Windows 10 仮想マシン
Windows Server 2012 仮想マシン
SSDの性能をほとんどフルに利用できていることがわかりました。実際カクカクするような感じはほとんどありません。
実は最初はあまり性能が出なかったので,色々調べていたところ,こちらの記事にあたり参考にさせて頂きました。
HDDのアクセススピードは VMWare に影響するのか?
http://www.moonmile.net/blog/archives/4187
ちなみにこちらが改善前のベンチマーク結果です。
10Gb Ethernetを使ったベンチマーク結果と実際のファイル転送速度
同じく Crystal Disk Markを使って,10Gbで繋いだCentOS上のSamba領域をネットワークドライブとしてマウントして速度を測ってみました。
書き込み速度が 1GB/sを超えています!
実際に3GB程度の動画ファイルを投げ込んでみたところ,理論値には届きませんが,かなりの速度が得られていることがわかりました。
弊社では,VMware対応のサンケン電気社製UPSも取り扱っています。オンプレミスの仮想環境構築にご関心がありましたらお気軽にお問い合わせください。
★アミュレットのUPSソリューション
★自分にぴったりなUPSを調べる
来週5/30(月)から店頭にてPOWERSTEP Cube Serverを展示します。この機会に実際の性能と小ささをご体感ください。