Thunderbolt 3対応ストレージケースにPCIeスロットなど様々な拡張機能を搭載した新製品「OWC ThunderBay Flex 8」が2023年1月13日(金)に発売となります。
ミニタワーPCに似た縦型の筐体には8台までの2.5インチ/3.5インチSATAドライブを搭載可能で、上段の4ベイはU.2ドライブにも対応しています。
さらにストレージ機能に加えて、PCI Express(PCIe)スロットや4K出力対応のDisplayPort 1.4なども装備し、Thdunderbolt 3によって可能な限りパソコンの機能を拡張することができるオールインワンな製品となっています。
今回は、この新製品を従来製品の「OWC ThunderBay 8」(以下、「ThunderBay 8」と表記します)と比較して、そのサイズ感や機能、ベンチマーク結果や拡張ボックスとしての機能などについてご紹介いたします!

OWC ThunderBay Flex 8の概要

OWC ThunderBay Flex 8(以下、「本製品」と表記します)は、Thunderbolt 3接続に対応した外付けハードディスクケースとしての機能に加えて、各種PCI Expressボードを搭載できるPCIeスロットを装備した拡張ボックスです。
3.5インチまたは2.5インチのSATA HDD/SSDを8台まで搭載可能です。また、上段の4ベイは2.5インチU.2 SSDにも対応しています。

macOSのディスクユーティリティで構成できるソフトウェアRAIDに対応しているので、8台のドライブを組み合わせて高速・大容量ストレージを構成できます。
なお1つ重要な点として、他のThunderBayシリーズ製品はmacOS/Windowsの両OSに対応していましたが、本製品はmacOSのみの対応となっています。

ストレージ機能およびPCIeボックスとしての機能に加えて、外部モニターが接続できるDisplayPort 1.4や、他のThunderbolt/USB機器と接続できるデイジーチェーン用のThunderbolt 3(USB-C)ポートやCFexpress&SDカードリーダーなども搭載しており、Thunderbolt 3経由でパソコンにあらゆる機能を追加する統合環境としてお使いいただけます。

それではまずは、本製品の外観写真を見ながらサイズ感や機能について確認してみましょう!

まずは正面から。
本製品は同じ8ベイ仕様のThunderBay 8と違って、縦型の一見するとミニタワーPCのようなデザインです。
8ベイの並び方も、すべてのベイが横に並べられていたThunderBay 8と違って、上下に4ベイずつ並んだ2段構成となっています。
なお本製品の左上にもThunderBay 8と同様に、前面パネル用キーロックの鍵穴が搭載されています。
付属のキーで前面パネルをロックして、ストレージの盗難や不意の取り出しを防ぐことができます。

さらに本体正面下部には、他の周辺機器をできる複数のUSBポートとCFexpress Type B/SDカードに対応したカードリーダーが装備されています。

次は背面を見てみましょう。
本製品の背面には、ThunderBay 8と同じくデイジーチェーンに対応したThunderbolt 3ポートと外部モニターに接続できるDisplayPort が装備されています。ただしDisplayPortについては、ThunderBay 8がDisplayPort 1.2だったのに対して、本製品はDisplayPort 1.4対応となり表示できる解像度の上限がアップしています。
また本製品最大の特徴であるPCI Expressスロットもこちら側に装備されています。
なお外観的にPCIスロットが複数あるように見えますが、実際に使用できるのは1スロットのみです。

 

最後に側面です。御覧のとおり目に入るのは製品名のロゴのみで特に機能は装備されていません。
ただし、PCI Expressスロットにアクセスするには左側のパネルを外す必要があるため、4つの六角ネジで固定され取り外しできるようになっています。
実は右側のパネルも左側と同様に取り外し可能ですが、そちらは外しても何もありません…間違えて外さないように注意しましょう(体験談)。

OWC ThunderBay Flex 8のいいところ

本製品の特徴は、Thunderbolt 3の帯域を活かして高速・大容量を実現する、8ベイ仕様のストレージ機能に加えて、PCIeボックスとしての機能やDisplayPort 1.4、CFexpress/SDカードリーダーなど、パソコンの用途を拡張するための様々な機能を搭載していることです。
データの収集から保存、出力までの機能をこれ1台でサポートできる、ある意味オールインワンなThunderbolt 3周辺機器となっています。

8ベイのストレージ機能は14TB以上のHDDを8台搭載して本製品1台で100TBを超えるストレージ環境を構築したり、複数のSSDでRAID 0(ストライピング)を構成して残りのベイはHDDでバックアップ用のミラーリングを構成するなど、用途に合わせて柔軟にカスタマイズ可能です。
本製品をThunderbay 8(写真右)と並べてみました。同じ8ベイ仕様でも4ベイが縦に2段で並んでる本製品と違って、ThunderBay 8はすべてのストレージが横一例に並んでいます。
シンプルに高速・大容量なストレージ機能のみを必要とするならThuderBay 8、それに加えてPCIeボードやCFexpress/SDカードリーダー、DisplayPort 1.4などの拡張性を求めるなら本製品、といった選び方ができるラインアップです。

ストレージ機能についても本製品はThunderBay 8から強化されていて、SATAドライブだけでなくU.2ドライブにも対応しています。ただし前述のとおり、U.2が取り付けられるのは8ベイすべてではなく上段の4ベイのみになります。
またちょっと特殊な仕様として、4ベイすべてにU.2ドライブを搭載した場合、1ベイあたりの転送速度にはPCIe 3.0の1レーン(x1、8Gbps)が割り当てられますが、左上の1ベイのみを単独でU.2ドライブ用に使った場合は4レーン(x4、32Gbps)が割り当てられ、Thunderbolt 3の転送性能をフルに活かすことができます。
現在国内市場ではU.2ドライブがほとんど入手できない状況となっていますが、OWC純正のオプションとして3.5ドライブサイズのケースに最大4台のM.2 SSDを搭載してU.2ドライブに変換するアダプター「OWC U2 Shuttle」が用意されています。
本製品の前面パネルは、他のThunderBayシリーズと同じく、付属のキーで開く仕様になっています。キーロックを閉めてキーを別途保管しておけば、基本的に中のドライブは取り外せなくなるので、物理的なデータ漏洩対策になりますね!

専用ドライブトレイは他のThunderBayシリーズとデザインが若干違いますが、サイズは共通となっており、それぞれを入れ替えて使用できます。アミュレット・オンラインショッピングにて個別販売しているOWC HDDトレイも使用可能です。
前述の変換アダプター「OWC U2 Shuttle」も3.5インチドライブサイズなので、HDDトレイに取り付け可能です。

さらにPCI Expressスロットを使って、ビデオキャプチャーボードや10Gbps高速ネットワーク、NVMe SSDなど、データの入出力をさらにサポートする機能を追加できます。

PCIeスロットは前述のとおり、本体左側のパネルを取り外すことでアクセス可能です。本体内部はミニタワー型のデスクトップPCと似た構造になっていて、2つあるPCIスロットのうち一つは本製品自体のストレージ機能を務めるボードが既に取り付けられています。
追加のPCIeボードはその直下のx4(4レーン)対応スロットに取り付けます。
ボードサイズはハーフレングス/フルハイト(173mm x 107mm)、1スロット占有タイプまで対応しています。(グラフィックボードは非対応。)
機能的には同じOWCブランドの「OWC Mercury Helios 3S」(以下 Helios 3S)とほぼ同等ですが、Helios 3Sは2スロット占有タイプに対応しており、Helios 3Sで使えたボードでも本製品では使えない場合があるので注意が必要です。
またPCIeスロットはThunderbolt 3の帯域を本製品の搭載ストレージなどと共有しているため、搭載するボードによってはHelios 3S搭載時とパフォーマンスが異なる可能性があります。

今回簡単な検証を行ったところ、上の写真に掲載されているPCIe NVMe SSDSATAコントローラー、そして10Gbpsネットワークといったボードはすべて動作が確認できました。
本体前面下部に装備されたCFexpress/SDカードリーダーは、高解像度カメラで撮影した映像・画像データを効率良くパソコンへ取り込みたいユーザーには便利な機能です。

4K動画などの大容量データも、Thunderbolt 3の帯域を活かして本製品に搭載したSSD/ハードディスクなどへ素早くコピーできます。
なおCFexpressカードリーダーの転送速度はメーカー公称値で最大985MB/sとなっていますが、これはPCIe 3.0の1レーン(x1、8Gbps)が割り当てられているためです。

前述のとおり、DisplayPort 1.4と本体前面の3つのUSBポート、そしてデイジーチェーン用のThunderbolt 3(USB-C)ポートを使って大画面モニターやUSB/Thunderbolt機器なども接続できます。
またデイジーチェーン用のThunderbolt 3ポートはUSB-PDによって、パソコンや周辺機器へ最大85Wの電力供給が可能です。
本製品を通してMacBookにモニターやキーボード・マウス・モーターなども繋げば、かなりハイエンドなドッキングステーションとして使うこともできます!

各種SSDでベンチマーク!

そして、ストレージ機器恒例のベンチマーク計測です。
今回は本製品に搭載可能な3種類のSSDについて計測してみました!
検証環境はこれまでと同様、パソコン本体はApple M1 Proを搭載したMacBook Pro(14インチ、2021)を用意し、ベンチマークアプリは「AmorphousDiskMark」を使用しています。

まずは基本的な構成として、SATA SSD (Crucial MX500 500GB)8台でRAID 0(ストライピング)を構成した場合の計測結果です。
同じ8ベイ仕様のThunderBay 8より若干スピードがアップしています。
本製品はU.2ドライブもサポートするため、ストレージコントローラーの仕様が違うせいかもしれません。

続いて前述のU.2変換アダプター「OWC U2 Shuttle」(以下、「U2 Shuttle」と表記します)にM.2 SSD(Intel SSD 660p Series SSDPEKNW010T8 1TB)4枚を取り付けて、RAID 0を構成しました。
U2 Shuttleは4レーン接続可能な本製品の上段左端のベイに取り付けています。U2 Shuttleに搭載された4枚のSSDはmacOSで個別のドライブとして認識されるので、SATAドライブ使用時と同じくmacOSのディスクユーティリティでソフトウェアRAIDを構成できます。

結果はM.2 SSD 4枚でSATA SSD 8台とほぼ同等の数値となりました!
U.2接続の場合、搭載するドライブによっては1ベイでSATAの8ベイに匹敵するスピードが得られることが分かりますね。

そして最後に、本製品のPCI Expressスロットに搭載できるPCIe SSD(Intel Optane SSD 900P SSDPED1D280GA 280GB)でも計測してみました。
こちらはRAID 0を組んだ上の2種類より若干下回っていますが、このSSDのメーカー公称値が2500MB/sなので、SSD自体の性能はフルに出し切っていますね。

ひとつ注意点として、検証した3種類のSSDはいずれもベンチマーク時にThunderbolt 3の帯域をほぼすべて使って動作しています。前述のとおり、本製品の各機能は1本のThunderbolt 3の帯域を共有しているため、これら3種類のSSDを同時に動作させた場合にはそれぞれの速度が上記の計測結果と異なる可能性があります。

8ベイストレージにPCIeスロットなど、考えられる限りの拡張性を備えたThunderbolt 3オールインワンボックス!

本製品は機能がテンコ盛り過ぎて正直なところ、紹介する身としても少し戸惑いましたが、豊富な機能の数々をある程度ご理解いただけたのではないかと思います。

SATAのみでなくU.2(M.2)にも対応した8ベイ仕様のストレージ機能に加えて、PCI Expressスロットによる拡張性やDisplayPort 1.4およびThunderbolt/USBポートによる接続性、そしてCFexpress Type Bにも対応した高速カードリーダーと、考えられる限りの機能をフル装備したThunderbolt 3拡張ボックスとして、様々な活用の可能性を持った製品です!
例えば4KカメラでCFexpressカードに収録したデータを本製品のカードリーダーで読み込んで、大画面モニターを使ってRAID 0の高速ストレージ上で編集し、HDDで組んだ大容量のミラーリング(RAID 1)ドライブにバックアップ、そして完成した成果物の映像データをMacBookに書き出して外に持ち出す、なんて使い方もできますね!
Thunderboltポートを使ってMacの性能をフルに活用したいとお考えの方、特にMacBook Proを使って映像編集など大容量のデータを扱う仕事の多いユーザーにはおすすめの製品です!

以上、Thunderbolt 3対応 8ベイストレージ+PCI Express外付け拡張ボックス新製品「OWC ThunderBay Flex 8」ご紹介でした。本製品は2023年1月13日発売予定です!

OWC ThunderBay Fles 8 ¥262,000(税込)

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