Thunderbolt 3対応ストレージケースの新製品「OWC ThunderBay 8」が2022年10月28日(金)に発売となります。
その名のとおり、8台までの2.5インチ/3.5インチSATAドライブを搭載可能で、ストレージ機能に加えて4K出力対応のDisplayPortも装備しています。
今回は、この新製品を従来製品の「OWC ThunderBay 4」と比較して、そのサイズ感や機能、そして最も気になる点であるソフトウェアRAIDを使った時のベンチマーク結果などについてご紹介いたします!

OWC ThunderBay 8の概要

OWC ThunderBay 8(以下、「本製品」と表記します)は、Thunderbolt 3接続に対応した8ベイ外付けハードディスクケースです。3.5インチまたは2.5インチのSATA HDD/SSDを8台まで搭載可能です。

macOSのディスクユーティリティで構成できるソフトウェアRAIDやWindowsの記憶域スペース/記憶域プールにも対応しているので、8台のドライブを組み合わせて高速・大容量ストレージを構成できます。

ストレージ機能に加えて、外部モニターが接続できるDisplayPort 1.2や、他のThunderbolt/USB機器と接続できるデイジーチェーン用のThunderbolt 3(USB-C)ポートも搭載しているので、簡易なドッキングステーション的にも使うことができます。

ここまで読んでお気付きの方もいらっしゃると思いますが、本製品は4ベイ仕様の従来機種「OWC ThunderBay 4」(以下、「ThunderBay 4」と表記します)の基本的な機能を継承して、搭載ドライブ数を倍の8台に増やした仕様となっています。

それでは本製品をThunderBay 4と並べて比較しながら、サイズ感や機能について確認してみましょう!

写真左側が本製品、右側がThunderBay 4になります。
まずは正面の比較から。
パッと見て正に倍!といった体で2製品の違いがハッキリと分かるアングルですね!
正確なサイズ比としては、横幅はThunderBay 4が135mmなのに対して本製品は260mmと2倍弱、高さについてはほぼ同等に見えますが本製品が189mmでThunderBay 4より4mm高くなっています。
なお本製品の左上にもThunderBay 4と同様に、前面パネル用キーロックの鍵穴が搭載されています。
付属のキーで前面パネルをロックして、ストレージの盗難や不意の取り出しを防ぐことができます。

次は背面の比較です。
サイズの違いによって見た目の印象は大きく異なりますが、本製品のポートの構成はThunderBay 4とまったく変わっていません。
本製品の背面には、ThunderBay 4と同じくデイジーチェーンに対応したThunderbolt 3ポートと外部モニターに接続できるDisplayPort 1.2が装備されています。
デイジーチェーン用のThunderboltポートにはUSB機器も接続できるので、本製品の背面に装備されたこれらのポートに外部モニターやハブ経由でUSBキーボード・マウスなどを繋いでドッキングステーションのように使うこともできます。

最後に側面です。
本製品の奥行サイズは240mmでThunderBay 4と同一となっています。
ただし前述のとおり本製品の方が若干高さがあるので、見た目には縦横比がThunderBay 4とちょっと違っています。

OWC ThunderBay 8のいいところ

本製品の特徴としては、まずThunderbolt 3の帯域を活かし、搭載したHDD/SSDを使って、高速で大容量のストレージを柔軟に構成できる点があげられます。
そして最大の特徴は、その搭載できるドライブ数がThunderBay 4の4台から倍の8台になったことです!
14TB以上のHDDを8台搭載すれば本製品1台で100TBを超えるストレージ環境を構築できます。
さらに放熱性に優れたアルミ製のシンプルなボディには、ThunderBay 4と同様に、前述のキーロックによる全面パネル開閉機構とドライブの取付・交換に便利な専用ドライブトレイも搭載してます。
キーロックを閉めてキーを別途保管しておけば、基本的に中のドライブは取り外せなくなるので、物理的なデータ漏洩対策になります。

専用ドライブトレイはThunderBay 4と共通となっており、それぞれを入れ替えて使用できます。
この専用トレイはアミュレット・オンラインショッピングにて個別販売を行っていますので、交換やバックアップのためのHDD/SSD用に追加できます。
また前述のとおり、DisplayPortとデイジーチェーン用のThunderbolt 3(USB-C)ポートを使って大画面モニターやUSB/Thunderboltハブなども接続できます。
本製品をとおしてノートパソコンにモニターやキーボード・マウスなどを繋げば、ストレージ機能付きのドッキングステーションのようにも使えます。上の写真ではMacBookの映像を本製品のDisplayPort経由でモニターに表示しています。
なお本製品はUSB Power Delivery(USB PD)による電力供給にも対応していますが、出力はThunderBay 4と同様に15Wまでとなります。MacBookなどパソコン本体の充電には足りないため、この方法で長時間使う場合にはMacBookに別途ACアダプターを繋ぐことをお勧めします。

RAID 0でベンチマーク計測

そして今回も勿論、ストレージ機器では恒例のスピード検証をやってみました!
パソコン本体はApple M1 Proを搭載したMacBook Pro(14インチ、2021)を用意し、ベンチマークアプリとして今回は「AmorphousDiskMark」を使用しています。
本製品にSSDとHDD各8台を搭載し、macOSのディスクユーティリティでRAID 0(ストライピング)を構成した上で検証しています。
SSDとHDDそれぞれについて、ThunderBay 4に各4台でRAID 0を組んだ場合と比較してみましょう。

まずはSSD(Crucial MX500 500GB)8台/4台での計測結果です。下の画像は左側が本製品、右側がThunderBay 4です。

読み書き速度共に、本製品はTB4の約1.7倍と2倍に近い数字が出ていますね!
搭載ストレージの台数が増えた分がほぼスピードに反映されています。

続いて東芝の14TB HDD(MN08ACA14T/JP)を8台/4台搭載して計測しました。

こちらも本製品の結果はThunderBay 4のほぼ倍となりました。
ただしHDDでRAID 0を構成して複数回の計測を行った場合、書き込み速度に大きなブレがみられました。
以下が、HDD 8台のRAID 0構成で連続5回のSEQ1M QD8計測を行った際の結果です。

  Read (MB/s) Write(MB/s)
1回目 2013 1768
2回目 1998 1990
3回目 2045 1870
4回目 2046 1592
5回目 2013 1878
平均 2023 1819.6

5回計測してReadは最低が1998MB/s、最高が2046MB/sと差が100MB/sだったに対して、Writeは最低が1592MB/s、最高が1990MB/sと400MB/s近い差がありました。

SSD 8台のRAID 0構成でも同様の検証を行いましたが、5回のうち最小と最大を比べてもその差は100MB/s以下に収まっています。

  Raed (MB/s) Write(MB/s)
1回目 2771 2514
2回目 2757 2537
3回目 2764 2539
4回目 2757 2471
5回目 2755 2502
平均 2760.8 2512.6

HDDの台数が多いせいもあってか、HDDのスピンアップやキャッシュ動作がソフトウェアRAIDの速度に大きく影響しているものと思われます。

ということで、ベンチマークを比較した結論として、本製品を速度重視で使うなら、やはりThunderBay 4と同様に、SSD 8台によるRAID 0での運用がおすすめです。(…RAID 0に冗長性は無いので、バックアップは別途必要です。)
ただし若干速度にムラがありつつも、容量単価でコスパの良いHDDを使ってベンチ速度で2000MB/s近い速度が出ているのは用途によっては有効だと思います。SATA HDDで構成されたストレージとしては優秀な数字ですね!
また搭載できる台数の多さを活かして、RAID 0とRAID 1を数台ずつに分けて構成することも可能です。
映像などの編集キャッシュ用にSSD数台でRAID 1を構成し、残りの台数はHDDでミラーリングしてバックアップ用にする、といった使い方もできますね!

なお本製品のベンチマーク検証をM1搭載モデルのMacBook Pro (13-inch, M1, 2020) でも行ってみましたが、M1 Pro機と比較してソフトウェアRAIDを設定した場合にM1 Macでは一部パフォーマンスの低下が見られました。
下の図は左が本製品にSSDを8台、右がHDDを8台搭載してそれぞれRAID 0を設定してM1 MacBook Proで計測した結果です。
それぞれReadの値はM1 Pro搭載のMacと比べてもそれほど差はありませんが、Write値がM1 Pro Macの計測結果を大きく下回り、SSD/HDDいずれの場合も1000MB/s以下となってしまっています。
シングルドライブの計測値ではM1/M1 Pro間でほとんど差がないため、ソフトウェアRAIDのCPU依存度が高いことが原因でCPUによって速度の違いが発生するものと考えられます。

8台のドライブを使って大容量・高速ストレージ環境を柔軟に構成できるThunderbolt 3対応 HDD/SSDケース

本製品はThunderbolt 3の帯域と搭載した最大8台のSSD/HDDを活かして、速度重視のRAID 0、バックアップ用のRAID 1、または複数種類のRAIDを混在させた構成など、用途にあった様々な方法で大容量のストレージ環境を構築できます。
「高速・大容量なThunderbolt 3ストレージを目的に合わせてカスタマイズしたい!」という方にかなりオススメの製品です!

以上、Thunderbolt 3対応 8ベイストレージ新製品「OWC ThunderBay 8」のご紹介でした!本製品は2022年10月28日発売予定です!

OWC ThunderBay 8 ¥143,000(税込)

(アミュレット オンライン・ショッピング

OWC ThunderBay 8製品ページ