監視カメラのコントロールに最適なPC

PC

以前ブログで「デスクトップPCと業務用監視カメラで本格的な映像監視システムを作ってみた!」という記事を投稿しました。内容は一般的なデスクトップPCを使って、実際にマンションの映像監視システムを構築した事例の紹介でした。
今回は、駐車場や倉庫のようなもう少し小さい空間で、さらにコストを掛けずに監視システムを構築する事例をご紹介します。
シンプルな構成のため、初めて監視システムを導入するという方にもおススメです。

取り組みイメージ

取り組みイメージ

前回ご紹介した構成では、監視カメラに電力を供給するためのPoEハブが必須でした。今回ご紹介する構成では、PCから監視カメラに直接電力を供給するため、PoEハブが必要ありません。つまり電源コンセントに繋がっているのはPCだけということになります。(ただし、PCのLANポートが2つしかないので繋げられる監視カメラは2台までです。)
しかも、PCはハガキや3.5インチハードディスクとほぼ同じ大きさのため、場所を取らず置き場所を選びません。背面には壁にかけるための穴が空いており、壁に掛けた状態で動かすこともできます。
監視カメラはCanon製を使用しています。Canonは現在監視カメラに力を入れており、今後さらにラインナップが拡充してくるかもしれません。

キヤノン、監視カメラソフト世界最大手を買収 デンマーク社
http://www.nikkei.com/markets/kigyo/ma.aspx?g=DGXNASDZ130DV_13062014TJ1000

東京五輪見据え…監視カメラ新製品続々 防犯需要拡大で開発加速
http://www.sankeibiz.jp/business/news/131005/bsc1310051201016-n1.htm

キヤノン、ネットワークカメラ4機種発表 – 世界最小 手のひらサイズを実現
http://news.mynavi.jp/news/2013/09/26/110/

このシステムのいいところ

メリットとしては、以下の項目が挙げられます。

  • PCは小型で壁掛けできるなど、場所を選ばない
  • PoEハブを介さずに監視カメラを動かせる
  • 消費電力が少ない
  • 4コア Intel Atom E3845搭載で、従来のAtom D525/D2550よりパワフル
  • SSD搭載なら動作温度-20℃〜70℃をカバー(要ワイドテンプ対応SSD)

壁掛け穴

今回使ったもの

監視システムの構築には以下を使いました。

1.PoE対応監視カメラ制御用PC(Neousys Technology POC-200)

大きさ15cm×10cm、Gigabit PoE2基搭載、USB3.0×3、USB2.0×1、DVI-I×1、シリアルポート×4

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ベンチマーク

2.PoE対応監視カメラ

Canon VB-M600D(低照度対応*1 監視カメラ)
VB-M600Dはパン・チルトに対応しているので、設置後にPCからカメラの撮影アングルを変更することができます。
*1 低照度対応:月明かり程度の明るさでカラー撮影が可能です。

vbm600d-01

3.ネットワークビデオレコーディングソフトウェア

RM-Lite v2.0 / v3.0
接続するカメラの数が4台以下の場合は、カメラに付属のソフトウェアでアングル管理や録画設定ができます。ただし、有償ソフトウェアのRM-9 v2.0 / v3.0などとはできることに差がありますので、有償ソフトウェアを採用するかどうかは、監視のレベルによって異なるので注意が必要です。

4.LANケーブル(PCと監視カメラを接続)

LANケーブル

なんと、これだけです!(カメラが1台の場合、イニシャルコストは総額で税込17万円〜20万円くらいになります)

使いはじめるまでの手順

実際に使いはじめるまでの手順については、以前ご紹介した記事に詳しく掲載していますので、そちらを参照して下さい。
今回はアナログ信号をデジタル信号に変換する等の作業は必要ありませんので、比較的すぐにセットアップできました。


実際に使ってみて

【良かった点】

まず筆者が実際にシステムを作ってみて感じたことは、使い始めるまでの手順が少なく、パソコンに不慣れな方でも導入しやすいのではないかという点です。

監視カメラをコントロールするOSはWindows 7なので、普段パソコンを使われる方ならそれほど不自由なく操作できます。またソフトウェアのインストールもDVDを認識させて数クリックで完了するため、全く難しく考える必要がありません。

次に、PCが小さいので置き場所に困らないという点です。

ハガキとほぼ同じ大きさなので、置き場所に困ることはほとんどないと思います。また、壁に取り付けることもできるので、据え置きできない場所での活用も可能です。気になるなるのは熱暴走などですが、今回使用したPCは産業用のため、動作温度が広く設計されています。メモリとストレージをワイドテンプ対応のものにすれば、過酷な条件下での使用にも耐える事ができます。

CentOSなどLinuxも動かせるので、小型Linuxシステムのリプレースにも使えるのではないでしょうか。

【今ひとつな点】

欠点とまでは言えないかもしれませんが、ソフトウェア(OS、アプリ等)をインストールする際は、外付けの光学ドライブが必要です。

VGA出力には対応していません。モニタはDVIもしくはHDMIポートを搭載しているものを用意する必要があります。

2.5インチのストレージを一つしか搭載できません。バックアップは外付けハードディスク等で取るか、ネットワーク経由で別の領域に取るかのどちらかを行わなければなりません。PC自体で完結できないのは欠点かもしれません。

映像監視システムのご相談承ります

以上、構築方法からメリット・デメリットについて概観してきました。低予算で手軽に監視システムを導入してみたいという方には導入の敷居も低く、選択肢としては十分検討頂ける内容になっているかと思います。映像監視の需要がある際は、ぜひお気軽にご相談下さい。お客様のご要望に合わせてご提案させて頂きます。

この記事で紹介した監視システムを、今週7/22(火)〜来週8/1(金)まで弊社店頭で展示しています。この機会に是非実物をご覧頂ければ幸いです。
映像監視ソリューションに関する実験検証は今後も継続して参ります!:)