脳画像解析の分野では、効率よく解析ができると注目されていたLin4Neuro。安定したハードウェア基盤のニーズに応えるべく、満を持して9月29日から脳画像解析ソフト「Lin4Neuro 日本語版」インストール済みデスクトップパソコン「POWERSTEP Tower for Lin4Neuro」の受注が始まりました！
弊社取扱中の高性能タワー型デスクトップパソコン POWERSTEP TowerにLin4Neuroをインストールした状態で、皆様にお届けします。
Lin4Neuroとは？
Lin4Neuroは脳画像解析のためのLinuxで、いくつかの脳神経画像ソフトウェアをまとめたパッケージになっています。医学系・心理学系で脳画像解析の初心者や、学生さんにとって入門書のような存在と言えるのではないでしょうか？
※下のサムネイルをクリックすると、ソフトウェアを起動したときの脳の画像が表示されます。苦手な方はご注意下さい。
Linuxディストリビューションでは、サーバ向けやスマホ向けが有名ですが、職業や職務に特化されたディストリビューションも世界で多数開発されています。
Lin4Nueroは、もともとはUSBブート可能なLinuxパッケージとして2011年1月25日に論文として紹介されています。（英語です、すみません）https://bmcmedimaging.biomedcentral.com/articles/10.1186/1471-2342-11-3
アミュレットでは、古くはPowerPCを搭載したMacで動くLinuxPPCなど、数々のLinuxディストリビューションのサポートを行なってまいりました。このたびLin4Neuro開発者の方とご縁があり、ハードウェアの提供を行う機会をいただきました。
読者の皆様の職場の周りにも、職務に特化したLinuxディストリビューションがあり、見えないところで皆様のお仕事を便利にしているかもしれません。ご要望やご縁があればアミュレットがサポートいたします！！
Lin4Neuroのソフトウェア
2022/9/29時点で、Lin4Neuroには以下のソフトウェアがパッケージになっています。
1.Lin4Neuroにプリインストールされているソフトウェア
2.GPUの性能を確認するためにプリインストールされているソフトウェア
- FSL
※使用するためには、Registrationが必要です
3.Lin4Neuroでインストーラーを準備しているソフトウェア
- AFNI
- CONN standalone (20.b)
- DSI Studio
- FreeSurfer (6.0.1, 7.1.1, 7.2.0, 7.3.2)
※license.txtの入手が必要です - ITK-Snap
- SPM12 standalone
どれも画像解析の研究で多くの人が利用しているソフトウェアです。
今回発売する「POWERSTEP Tower for Lin4Neuro」は、これらのソフトウェアパッケージをまとめたLinux「Lin4Neuro 日本語版」をすでにインストールした状態でお届けします。
メニューのところに「脳画像解析」という項目がすでに用意されており、パソコンを立ち上げてメニューを開けば、脳画像解析に必要なソフトウェアがいつでも使える状態になっています。
最初からLinuxをインストールした状態でお届けしますので、お客様ご自身でOSやソフトウェアのインストール作業や設定作業を行う必要がありません。これで、パソコンを起動すれば、すぐに解析に集中できるというわけですね！
Lin4Neuroをまったく触ったことがない筆者が、ソフトウェアを立ち上げてとりあえず動かしてみた数十秒程度の動画もございます。よろしければご覧ください。
※脳の画像が表示されますので、苦手な方はご注意ください
▶ 動画はこちら
しかも、GPUの設定も完了した状態でお届けしますので、GPUの使用が必須となるソフトウェアもすぐに使えるようになっています。
もちろん、ご自身でLin4Neuroのインストール作業やGPUの設定作業ができる方であれば、ハードウェアのみの購入も可能です。
POWERSTEP Tower for Lin4Neuroの標準構成
まずはLin4Neuroの要件を確認
Lin4Neuroは、Ubuntu 20.04 LTS をベースにしているため、ハードウェア要件は基本的にUbuntuと同様です。
・2 GHz以上のプロセッサ
・4 GB以上のRAM
・高速化OpenGLドライバを備えた3 Dグラフィックスカード
(GPUと独自のグラフィックスメモリを搭載)
さらに17インチ以上のモニターも必要とのことですが、解像度に置き換えると1280×1024にあたります。フルHD(1920×1080)のモニターであれば、要件を満たしています。
POWERSTEP Tower for Lin4Neuroは？
次に、POWERSTEP Tower for Lin4Neuroの標準構成を簡単にご紹介します。
CPU：第12世代i7
GPU：Geforce RTX 3070
メモリ：32GB（16GBx2）
起動ストレージ：M.2 SSD 500GB
データストレージ：3.5″ SATA HDD 8TB
光学ドライブ：スーパーマルチ
電源：80PLUS GOLD 800W
その他、構成の詳細はこちらをご覧ください。
仮想マシンを使用する場合は、メモリを8 GB以上にする必要があります。このほか、Lin4Neuroに含まれる脳画像解析ソフトウェアパッケージを実行するには、Ubuntuの要件よりも高性能なCPUや容量の大きいメモリが必要になるため、POWERSTEP Tower for Lin4NeuroではUbuntuのハードウェア要件よりも高めのスペックを標準構成としています。
保証について
ハードウェアの保証期間は、保証書記載のご購入日より1年間、センドバック保守をお付けします。保証期間の延長を希望される場合は、お気軽にご相談ください。そのほか詳しい保証規定についてはこちらのページをご参照ください。
Lin4Nueroに関してわからないことがあっても、アミュレット社内には脳画像の専門家は常駐しておりませんので、お答えできることが限られています。
そこで一次窓口を別に作り、障害の内容を分析したのち、ハードウェアやOSに近い部分をアミュレットで、職業の専門分野に近い部分はK-lab様に分担して対応することといたしました。またハードウェア、ソフトウェア、お客様の諸課題については、K-lab様と情報を共有して改善活動を行なってまいります。
最後に
今回の製品リリースにあたり、主にLin4Neuro開発者である筑波大学 根本清貴先生からたくさんのご助言を頂きました。
★根本先生のHP：K-lab
Lin4Neuroに関する情報もたくさん載っています！
そして、恐れ多くも根本先生ご本人から、Lin4Neuroを使用した画像解析をお考えのお客様へメッセージを頂きましたのでご紹介させていただきます！
Lin4Neuro 開発者からのメッセージ
「脳画像解析をしたい」と思いながら、今までにこんな経験をしたことがありませんか？
– いい脳画像解析ソフトを発見したけれども、Linuxでしか動かないというのであきらめた。
– Linuxに興味はあるんだけれども、最初に何をすればいいのかわからない。
– Linuxを自分でいれてみたけれども、ソフトの設定に苦慮している。
Lin4Neuroは、脳画像解析に特化したLinuxです。Ubuntuをベースに、軽量デスクトップXFCEを搭載し、普段Linuxを使っていない方でも使いやすいようにユーザーインターフェースを工夫しています。そして、様々な脳画像解析ソフトを事前にインストール、もしくは、インストーラーを準備することで簡単にインストールすることができるような仕組みを備えており、比較的簡単にソフトウェアを使うことができるようになっています。
Lin4Neuroはもともと「コンピューターのボタンを押したらすぐに脳画像解析を始めることができる」ことをコンセプトに開発を進めてきました。近年、GPUの発展に伴い、ハードウェアの設定をきちんとしないとソフトウェアが動かないことが増えてきており、そこをどう乗り越えるか試行錯誤していました。そのような中、ハードウェアメーカーのAmulet社さんが、Lin4Neuroプリインストールのマシンを出荷してくださることになりました。
POWERSTEP TOWER for Lin4Neuro は以下の特徴があります。
– Lin4Neuroが最初からインストールされています。
– GPUの設定が済んでおり、FSLのeddyやbedpostx_gpuといったGPUを使わなければいけないソフトが最初から使えるようになっています。
なお、POWERSTEP TOWER for Lin4Neuro は、オープンソースの精神を尊重し、Lin4Neuroおよびそれに付随するソフトウェアに対する対価は商品価格に反映されていません。商品価格はあくまでもPOWERSTEPに搭載されるハードウェアの価格と、OSをインストールするための工賃のみとなります。
また、Lin4Neuroにインストールされている脳画像解析ソフトウェア群は再配布可能なオープンソース・ソフトウェアと、ハードウェアの性能を確認するためのソフトウェアとなります。
POWERSTEP TOWER for Lin4Neuroを使って、ぜひ、快適な環境で脳画像解析を楽しんでいただけたらと思います！
Lin4Neuro開発者
根本清貴
POWERSTEP Tower for Lin4Neuroが学生さんたちの学びや、研究のお役に立てたら幸いです！
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