利用機会の増えている映像監視システム
今回ブログで取り上げるのは,「映像監視システムの構築」です。映像監視システムそのものは、何十年も前から存在しています。デジタル技術の進化に伴って、普及が進み、防犯、防災、計測等で広く利用されつつあります。皆さんも動画を見る機会は増えていると思いますが、監視カメラの映像は、あまり見たくないものの1つだと思います。見る時には、事故、障害、盗難といった好ましくない事象とリンクしていることが多いからです。
ですが,いざという時に役に立つという側面があることも事実です。警備会社さんの映像監視システムはとても優れた仕組みが取り入れられていますが,一方で機械の操作方法が難しくて,なかなか映像を取得できずに苦労したことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
今回は,普段仕事やプライベートで使い慣れた Windows のパソコンで撮影位置を決められたり,撮った映像を切り出したりできるシステムを構築しました。自分で映像監視システムを管理し,保守運用コストを下げたい方の参考になれば幸いです。対象としては,警備会社の監視システムに飽き足らない方を想定しています。
構築案件概要
今回は都内のあるバイク駐車場の監視システムの更新を行いました。バイク駐車場では、お客様であるライダーさんのためにバイクをしっかりと保管し、盗難やいたずらから守り、簡単な整備ができるような設備を提供しています。従来、監視カメラとしてはアナログ式のものを用意していましたが、性能面、機能面で課題があり、新しいものに変更したいとの要望がありました。
具体的には以下のような課題が挙げられました。
- 暗くなると、映像が確認しずらい
→ 夜間でもわかりやすい映像を記録できるカメラを導入したい - 撮った映像を検索するのが難しい
→ 動画の検索が速くて便利なビューア機能がほしい - 撮った映像を取り出すのに時間がかかる(USB1.1経由)
→ 大きな動画データをすぐにとり出せるようにしたい
システム構成
システム構成は、監視カメラ3台とレコーダーだけの単純なものです。
Before写真
工事前はこんな感じでした。カメラは入り口の方向とロッカーの方向に向いていて,3台設置されていました。
用意したハードウェア
・監視カメラの映像レコーダー
POWERSTEP WALL (HDDモデル)
壁掛け型のPCです。小型,高温度対応でNICを2本積んでいます。
https://www.amulet.co.jp/products/custompc/ps-wall.html
(事例)壁掛け式ですっきり!PoE対応のコンパクトPCで映像監視システムを作ってみた!
https://www.amulet.co.jp/shop-blog/?p=5743
・監視カメラ
VB-S805D
小型ながら広角固定ドーム型のカメラです。
VB-H630D (2台)
月明かり程度の環境下でのカラー撮影にも対応しています。
・ネットワークスイッチ
5ポートの自給電式PoEハブを用意しました。POWERSTEP WALLは、PoE対応LANを持っていますが、2系統だけなので、3つのカメラを駆動できません。そのため5ポートのPoEのハブを用意しました。

地震などへの対策と,粉塵侵入防止のため金属製のラックにシステム一式を収納しています。 キーボードとマウスはドングルタイプで無線化しました。PC本体にもホコリやゴミが入りにくいファンレス密閉構造になっています。広温度対応なので,夏場や冬場でも安心して使えます。
After写真
ソフトウェアとネットワーク
ソフトウェアは、キヤノンのカメラに付属する RM Lite 4.3 を利用しました。
ネットワークは、クローズドのLANを構築しました。ここの駐車場はインターネット回線がないため、外部との接続は行っていません。
運用面
24時間365日の撮影を行い、1ヶ月間データを保管します。問題が生じた場合は、動画をレコーダーからすぐに取得できるようになっています。
アミュレットの提案1: POWERSTEP( PoE対応)
アミュレットでは、PoE対応のPCを3種類用意しています。今回の導入で使ったPOWERSTEP WALLのほかに、「POWERSTEP RUGGED S」という小型モデルがあります。
POWERSTEP RUGGED S(LAN2ポート)
https://www.amulet.co.jp/products/custompc/ps-rugged_s.html
(事例)工具いらずで簡単にディスク交換ができる!広温度対応PCの小型ラインナップが追加されます!
https://www.amulet.co.jp/shop-blog/?p=7159
さらにLANポートを9基搭載したPoE対応機種もあります。
POWERSTEP RUGGED(LAN9ポート)
https://www.amulet.co.jp/products/custompc/ps-rugged.html
PoE(Power over Ethernet)は、イーサネットケーブルを利用して、無線アクセスポイントやネットワークカメラに電力を供給する技術です。ACアダプタや電源工事が不要なため配線が格段に楽になります。
アミュレットの提案2: 監視システムの構築
アミュレットでは、デジタル機器を使った監視システムを構築しています。業務で使うことを想定した事例としては次のようなものを紹介しています。
(事例)デスクトップPCと業務用監視カメラで本格的な映像監視システムを作ってみた!
https://www.amulet.co.jp/shop-blog/?p=5518
(事例)Zabbix 2.2.9でコンピュータを見える化してみた!
https://www.amulet.co.jp/shop-blog/?p=6767
(事例)オンプレミスにゲートウェイセキュリティを導入してみた!
https://www.amulet.co.jp/shop-blog/?p=7904
アミュレットの提案3: インターネットとの連携
今回の事例では、ランニングコストとの兼ね合いから、インターネットからの遠隔接続は行いませんでしたが、場合によってはそのような希望もあるかと思います。今回のカメラはCanon製ですが、Canonでは独自のネットワーク監視サービスも実施しています。
クラウド型録画サービスVisualStage Type-Basic概要
http://cweb.canon.jp/webview/lineup/visualstage-b/
アミュレットでもお客様からご依頼があれば、カメラデータをネットワーク経由で取り出す設定を構築することも可能です。
監視システム構築のポイント
監視システムを構築するにあたって,少しシステム屋としての考察を加えてみたいと思います。情報セキュリティを学んだ人にとっては、「リスクアセスメント」と「セキュリティマネジメント」という言葉を聞いたことがあるかもしれません。ポイントを項目で噛み砕いて示すと次の8つを明らかにすることが大切であると考えています。
- 守るべきものは何かを明らかにする。
- 脅威を明らかにする。
- 脆弱性を明らかにする。
- 事前対策として、抑止策を定める。
- 事前対策として、予防策を定める。
- 事後対策として、検知方法を定める。
- 事後対策として、復旧方法を定める。
- 事後対策として、防止策を定める。
ITシステムを導入すれば防犯レベルが高まると考えがちですが,事前対策として抑止策や防止策を定めておくと良いと思います。
例えば,今回のバイク駐車場の事例では以下のように考えられると思います。
- 守るべきもの: バイク
- 脅威: 盗難、火災
- 脆弱性: 入退室時のバイクの移動時
- 抑止策: 外部からバイクが見えないこと、警備会社との契約
- 予防策: 施錠、認証
- 検知方法: 映像記録 ←今回はここを強化
- 復旧方法: 犯人探し、盗難保険
- 防止策: 日々の運用の改善
大切な資産を守るためには,最後の砦としての映像証拠が常に有効であることが大切です。また,万が一災害や盗難が発生した場合に,映像をすぐに確認できるように管理者の方が対応しやすいマニュアルなどがあると便利だと思います。
アミュレットの監視システムの強みは,そういったオペレーションのしやすさや,データのバックアップ等を考慮して,ITリテラシーの高い方に対して細やかな設定とアドバイスができる点であると考えています。
何か事件が発生した際に警備会社との連携をどのように取るか,映像データをどのように渡すかなどで,対応に苦慮することなく,運用でラクができるシステムの提供を,今後も目指して参ります!
監視カメラシステムのデモを店頭で展示します。
このブログで紹介したものとほぼ同じ監視システムを店頭で展示します。
期間:2016年10月17日(月)〜2016年10月28日(金)
実際にカメラの設定などを変えることができるデモになっていますので,監視カメラの導入をお考えの施設管理者の方はこの機会に是非お越しください。
監視システムのご相談やお見積はお気軽にお問い合わせ下さい。
お問い合わせは こちら