弊社カスタムPC「POWERSTEP Tower」をベースとし、脳科学研究に特化したLinux「Lin4Neuro」をあらかじめインストールした状態でお届けする、デスクトップPC「POWERSTEP Tower for Lin4Neuro」

脳科学のプロフェッショナルなユーザー様が多いことを受け、このたび同製品の名称を「Lin4Neuro Professional Model」へパワーアップすることとなりました。
そして名前だけではなく、標準構成も全体的にパワーアップしております!

今回は、新名称の標準構成をご紹介するとともに、旧「POWERSTEP Tower for Lin4Neuro」と新「Lin4Neuro Professional Model」の標準構成でのベンチマーク結果等をご紹介いたします。

はじめに:標準構成の比較

さっそく新旧の標準構成を比較してみましょう!

旧「POWERSTEP Tower for Lin4Neuro」の標準構成

CPUIntel Core i7-12700
チップセットZ690
メモリDDR4-3200 32 GB
グラフィックボードNVIDIA GeForce RTX 3070 Ti
記憶領域起動用ストレージ: M.2 NVMe SSD 500 GB
データ用ストレージ: SATA HDD 8TB
有線LAN2.5 Gigabit Ethernet
Wi-Fi非搭載(オプションで追加可能)
OSLin4Neuro日本語版

脳科学研究をされる某先生から「Lin4Neuroプリインストール機器に変えたところ、今まで使っていたPCに比べて半分の時間で解析できるようになった」「いままで2時間半くらいかかった処理が、15分でできるようになった!」とお褒めの言葉を頂いており、「旧」といえども、なかなか悪くない性能でございます。

さて、いよいよ新しい構成。赤字の部分が旧製品からの変更点となります。

新「Lin4Neuro Professional Model」の標準構成

CPUIntel Core i7-13700F
チップセットZ790
メモリDDR5-5600 64 GB(32 GB x 2)
グラフィックボードNVIDIA GeForce RTX 4070 Ti
記憶領域起動用ストレージ: M.2 NVMe SSD 500 GB
データ用ストレージ: SATA HDD 2TB
有線LAN2.5 Gigabit Ethernet
Wi-Fi802.11ax Wi-Fi 6E + Bluetooth
OSLin4Neuro日本語版

ご覧の通りチップセットもグラボも、より新しい製品を採用しております。これなら必然的に、全体的な性能も上がりますね↑

また、従来はオプションでWi-Fiモジュールを追加していただいておりました。これまでWi-Fi対応のご希望が多かったことを受け、今後は標準でWi-Fiに対応した状態で出荷いたします!もちろん、有線LANポートも変わらずに付属しておりますので、安定性の高い有線LAN派の皆様も安心してお使いいただけます。

ベンチマーク比較

それでは次に、Lin4Neuroに標準でついてくるツールを用いて、新旧の標準構成でベンチマーク結果を比較していきます。なお、旧標準構成のメモリサイズは32GBでしたが、比較データを合わせるため、搭載メモリは64GBにしています。

論より証拠、まずはベンチマークの結果を発表します。

ツール1 test_eddy_cuda.sh 実行結果

「eddy」は、拡散MRI画像の歪みを補正するためのツールです。拡散MRIでの撮像直後は、下図のように画像が歪んでいます。(眼球を見ていただくとわかりやすいです)

拡散MRI撮像直後の画像

脳の形も縦に伸びて少し歪んでいます。
この画像を、「eddy」で歪みを補正すると…

さきほどの画像に比べて、眼球が丸くなっているのがわかりますね!脳の形も整いました。

この画像補正をCPUだけで実行すると、1例につき2〜3時間もかかります。しかし、GPUを使用して同じ処理を行うと、1例あたり10分程度まで短縮することができます。Lin4Neuro Professional Modelは当然GPUを搭載していますので短時間で処理ができちゃいます。

テストツールの「test_eddy_cuda.sh」は、画像補正をしてくれる「eddy」を用いた、歪み処理の時間を計測しています。旧構成・新構成どちらもGPUを搭載しておりますが、新構成の方がより高速になったのでしょうか!?

旧構成(RTX3070Ti)

real : 4m1.483s
user:3m21.877s
sys :0m39.648s

real :3m55.421s
user:3m16.254s
sys :0m39.181s

real :3m59.930s
user:3m20.633s
sys :0m39.361s

新構成(RTX4070Ti)

real :3m35.572s
user:3m5.240s
sys :0m30.351s

real :3m34.755s
user:3m4.332s
sys :0m30.443s

real :3m34.544s
user:3m3.711s
sys :0m30.856s

ご興味ある方のために補足しておきます。

real:指定したコマンドを実行するためにかかった時間
user:指定したコマンドを実行するため使用したユーザーCPU時間
sys:指定したコマンドを実行するために使ったシステムCPU時間

僅少な差ではありますが、新構成の方が時間がかからない(=処理が速くなっている)のがおわかりいただけますか?

ツール2 test_xtract_gpu.sh 実行結果

「xtract」神経線維を描出するツールです。従来のCT画像やMRI画像では神経線維を直接見ることはできませんが、「確率的トラクトグラフィー」という魔法(?)を使うことで、こんな感じで神経線維を可視化できるようになります。

この確率的トラクトグラフィーの処理をCPUのみで行った場合、1例あたり24時間以上かかるそうです。ところが、これもGPUを使用することで、なんと処理時間を1時間以内にまで短縮できます!!東京から九州まで船で行くか、それとも飛行機で行くか、くらいの差がありますね。

なお、「xtract」を実行するときは、さきほどの「eddy」なども使用します。テストツールtest_xtract_gpu.sh」では、拡散MRI画像からDICOM画像への変換、そこからさらに神経線維の描出まで、すべての過程をテストするものとなります。

繰り返しになりますが、旧構成・新構成どちらもGPUを搭載しております。その上で、新構成の方がより高速になったのでしょうか!?気になるベンチマークの結果がこちら。

旧構成(RTX3070Ti)

real : 38m22.682s
user:38m27.459s
sys :1m48.247s

real :38m8.110s
user:38m17.460s
sys :1m45.848s

real :38m9.805s
user:38m14.457s
sys :1m47.442s

新構成(RTX4070Ti)

real :33m18.743s
user:34m15.193s
sys :1m48.864s

real :33m17.073s
user:34m22.274s
sys :1m48.302s

real :33m15.748s
user:34m14.946s
sys :1m49.120s

ザッと見たところ、どれも旧構成に比べて、4〜5分ほど新構成の方が処理が速くなっております!

名称だけでなく性能もUPしているのはおわかりいただけたかと思います。これでますます脳画像解析の処理が快適になりますね。

まとめ:脳科学研究に最適なPC!?

Lin4Neuroプリインストール機器は「CUDA」というGPUの複数の演算器を利用した高速な並列演算処理を行っています。
GPUの性能がアップしたため、旧構成に比べて新構成の方が数値がよくなりました。ただ、GPU以外にもCPU・搭載メモリ・チップセットなども新しいものを採用しており、パーツひとつひとつの性能も向上しております。

弊社で取り扱うLin4Neuroプリインストール機器は、Lin4Neuro開発者の根本清貴先生と相談しながら構成などを決定しております。

2024年の今、「Lin4neuro Professional Model」は Lin4Neuroにパッケージングされたソフトウェア類を使いこなすのに、最適なスペックではないでしょうか!?

また、この製品はカスタムが可能ですので、ご予算等に応じてストレージやメモリの増量・減量も承ります。お気軽にご相談ください!

Lin4Neuro Professional Model

製品ページ

【参考リンク】Lin4Neuroを用いて解析された研究論文


初心者向け製品もご用意!

・Lin4Neuroに興味はあるんだけど、今の自分で使いこなせる自信がない
・初心者にはいきなり40万円もするマシンを購入するのは気が引ける
・もう少しお手頃な価格で購入できたらいいんだけど・・・

・研究室に大きいパソコンがあるけど、自宅用に1個くらいほしい

そんな方には、片手で持てるサイズの「Lin4Neuro Starter Model」がオススメです!

ちゃんとLin4Neuroがプリインストールされています!

現時点で初心者でも、Lin4Neuroのセミプロ(?)になったら、外付けGPUと組み合わせて性能をあげることもできます。ぜひご自分にあった製品を自由にお選びください!